日本銀行がマイナス金利の解除を決定しました。私達の生活にはどんな影響があるのでしょうか?第一生命経済研究所 首席エコノミストの永濱利廣氏に聞きます。
17年ぶり「マイナス金利解除」

3月19日、日本銀行がマイナス金利を解除。17年ぶりに金利の引き上げを決定しました。
日銀の植田総裁は、
「マイナス金利政策の解除といった大規模な金融緩和は、その役割を果たしたと考えている」と話しています。
見直しの理由については、日銀が目指していた「2%の物価安定の目標」が、持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った、としています。
これまでは異次元の金融緩和策とも言われていましたが、これを正常化していくということになります。
メリット・デメリット

メリットは、預金に付く金利が上がる可能性があるということです。
三菱UFJ銀行は3月21日から、三井住友銀行は4月1日から、今まで0.001%だった金利を20倍の0.02%に上げることを発表しています。
例えば100万円を1年間預けた場合は、利息10円だったものが200円になるという計算になります。
デメリットとしては、住宅ローンの変動型金利が引き上がる可能性が挙げられます。
恵俊彰:
17年ぶりに変えた背景は何でしょうか?

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏:
やはり今回の春闘の賃上げ率が33年ぶりにものすごく高い数字が出たんですね。これが後押しになって、これならマイナス金利を解除してもいいかなということになったんだと思います。
恵俊彰:
今まで金利がマイナスだったのは、異常な事態だったんですか?
永濱利廣氏:
そうですね。結局民間の銀行が日銀にお金を預けすぎると、むしろ金利を取られちゃう状況だったので。
ただマイナス金利を解除すればそれだけ経済にもダメージがあるわけですから、賃金が上がってくるから少しぐらいのダメージにも耐えられるかなという判断だろうと思います。
恵俊彰:
そこら辺がちょっと疑問なんです。物の値段が適正に上がっていけばいいんでしょうけど、原材料費の高騰などで上がってしまっていて、「みんなが欲しいから値段が上がる」という流れではないのではないかと。
永濱利廣氏:
まさにその通りで、実はまだ政府はデフレ脱却宣言をしていないんですよね。さらにGDPだってまだ明確にプラスになっていないですし、そういう中でこのタイミングでマイナス金利の解除をやっちゃっていいの?という意見も当然ありますよね。
恵俊彰:
永濱さんはどっちだと思われますか?やってよかったんですか?
永濱利廣氏:
今後の展開次第です。
本当に賃金の上昇が春闘の結果通りに、いわゆる実質賃金がプラスとなって物価上昇以上に賃金が上がるということになれば、マイナス金利解除程度なら大丈夫だと思うんですけど、そこがいかないとちょっと拙速な状況になる可能性はあります。