条例では“やむを得ない事情がある場合は市は責任を負う必要ない”

 では、この助成金制度に問題はないのか?取材班は今年7月15日、和歌山市の担当者に話を聞きました。

 (和歌山市の担当者)
 「この制度ですべての方が満足していただけたかというのは、なかなか厳しいというのは実際にはございます」

 一部の事業者から不満が出ていることは認めますが、ある条例を盾に「補償する必要はない」と主張します。

 (和歌山市の担当者)
 「市の水道事業給水条例の第18条におきましては、水道施設の損傷などにより生じた損害については、管理者はその責を負わないと規定されております」

 市の水道事業給水条例では、災害などやむを得ない事情がある場合、市は責任を負う必要はないと定められているのです。

 しかし、市の第三者委員会は、水管橋の崩落は鳥のフンなどにより腐食したことが原因と認定し、市の点検方法に不十分な部分があったとしています。

行政問題に詳しい弁護士「100%市に責任がないとは言えない」

 この点について、奈良県生駒市長を9年間(2006年~2015年)務めた山下真弁護士は「市に過失がないとは言い切れない」と指摘します。

 (行政問題に詳しい山下真弁護士)
 「今回の給水停止がやむを得ないものだったのかどうか、それによって補償する責任の有無が変わってくるのではないかと。報告書に記載されたさまざまな指摘を見る限りは、100%市に責任がないとは言えない」

 「橋の崩落はそもそも市の責任ではないのか」。補償を受けられない店主たちは、今も割り切れない思いを抱えています。