“異次元緩和”からの決別 本気度は?

藤森祥平キャスター:
「マイナス金利の解除」で何が変わるのでしょうか。

例えば、メリットは「預金の利息が増える」。
一方、デメリットは、「住宅や車のローンを組む時の金利が上がる」などがあります。

本来はマイナス金利を解除すると日米の金利の差が縮まるので円高に繋がりますが、いまも円安は変わりません。

そして、金利をあげるとお金が借りづらくなるので、景気が冷え株価が下がる方向にいきますが、18日の日経平均株価の終値は、1000円以上値上がりして終わっている。

小川キャスター:
理論上起きうることの逆をいっているわけですけども、これはどういう状況ですか?

TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
植田総裁は2月に「マイナス金利の解除等を実施したとしても緩和的な金融環境は当面続く可能性が高い」と言っているので、ブレーキ一辺倒じゃなくて、アクセルも用意してますよというスタンスなんですね。

ですから、市場もブレーキ一直線で行くわけじゃないと見ているのと、日銀もどんどん利上げして、景気が悪くなって株が下がったりした場合、日銀のせいになってしまうので、そこは避けたいという配慮があります。市場からすると、どうも利上げ一辺倒で進まんぞという判断をしているんでしょうね。

小川キャスター:
マイナス金利解除の影響というのは、どうご覧になっていますか。

斎藤さん:
植田総裁はこれから難しい舵取りを迫られると思うんですよね。やっぱりいつまでもゼロ金利を続けることは難しいわけで、他方で、どんどん金利を上げていくということになれば、例えば国債の利払いが増えていって、政府の財政を圧迫してしまうとか、利上げをして、引き締めすぎて株価が下がる。

今、日銀は70兆円を超えるようなETF(上場投資信託)を持っているので、その株をどう売って、アベノミクスの出口を見出すかということも難しくなってしまう。

他方で利上げをしなければ、いつまでたっても円安が続いて、物価高が続くということになれば庶民の生活に悪影響が出てしまう。大企業はそういう状況を歓迎するかもしれないけど庶民にとっては難しい。

かといって利上げをすれば住宅ローンが上がるとか、景気が悪くなれば、当然私達の生活にも影響が出る。

どっちを選んでも悪影響が私達の生活に出かねない、経済が停滞しかねない中で、どう状況を脱していくのか非常に難しい舵取りを迫られているなと思いますね。

小川キャスター:
まだ賃上げという流れに至っていない中小、零細企業はこれに頼るのかというところもあるかと思いますが、いずれにしても金融政策の大きな転換点を迎えてますね。

星さん:
10年以上続いたアベノミクスの終焉ですね。元々「アベノミクス」はカンフル剤ですからね。2、3年で転換するはずだったのに、ずっと続いてしまって、エコノミストの中でも「無理ですよ」という意見が多かったのに、ズルズルと続いてしまっていろんな副作用を生んでいるという現状で、警告があったにも関わらず続いてきたというのは、ある意味で裏金問題にも通じるんじゃないかと思うんですね。

この10年間の日本の政治経済が、何となく安倍1強とか自民党圧倒支配の中で、あまり意見を聞かないまま一つの政策ないし、一つの方向にずっと縛られてきたという点があると思うので、検証みたいなことがより重要になってくると思いますね。

小川キャスター:
金融政策の行方や19日のお昼頃に公表される見通しです。植田総裁がどのような言葉でアベノミクスを総括するのか注目ですね。