日本銀行は19日の金融政策決定会合で「マイナス金利の解除」に踏み切る見通しです。金利の引き上げは実に17年ぶりとなりますが、住宅ローンの金利はどれくらい上がるのか?私たちの生活にはどのような影響がでるのでしょうか?

マイナス金利解除へ 住宅ローンいくら上がる?

18日、都内の住宅展示場では平日にもかかわらず多くの人が訪れていました。

40代会社員
「いままで賃貸だったので、毎月払っている家賃はもったいないなって。家を購入して自分のものにした方がいいかなと購入に踏み切りましたね」

夢のマイホーム選びに胸が躍る一方で、気にしていたのが…

40代会社員
「(ローンの)金利が高くなると不安な面もある」

住宅ローンの金利です。

住宅ローンを組む際には「固定」と「変動」を選ぶことができます。

現在、固定金利は約1.84%。変動金利は約0.37%となっています。固定金利は返済が終わるまで変わらないのが特徴です。

一方、変動金利は金利が上昇する可能性がありますが、固定金利より金利が低いのが魅力で7割以上の人が変動金利を選んでいます。

ただ、その変動金利が上昇する可能性が出てきています。

19日、日銀が長年続けてきたマイナス金利の解除に踏み切る見通しだからです。利上げとなれば17年ぶりですが、なぜこのタイミングなのか?

日銀・植田和男総裁(3月13日)
「春季労使交渉の動向は大きなポイント」

背景にあるのが先週、連合が発表した春闘の数字です。

賃上げ率は、現時点で2023年の3.8%(1次集計)を大幅に上回る5.28%(1次集計)という記録的な水準となりました。

日銀が政策転換するための条件としていた“賃金と物価の好循環”が整った形です。

こうした中、先ほどの住宅展示場では今後の金利上昇に不安の声も…

男性(変動金利で購入予定)
「変動も5年で一気に上がることはないと思うが、5年後10年後と考えた時にどのくらい上がるのかは心配

変動ではなく、あえて金利が高い“固定型ローン”を選ぶ人も。

男性(固定型ローンを検討)
「金利が上がるのなら、固定で長期で、できるだけローンを組みたい」

実際に日銀のマイナス金利解除で住宅ローンの返済にどれほど影響が出るのでしょうか?

ニッセイ基礎研究所 福本勇樹金融調査室長
「日銀が今後、ゼロ金利政策に移行した後に利上げしますということになってくれば、利上げ幅分だけ金利も上がって、既存の借り手の方にも影響が出てくる」

福本氏の試算によると、例えば住宅ローン(35年返済)で4000万円を借りた場合、金利が0.1%上がると月々の支払いは1700円ほど上がり、総額では70万ほど増えるといいます。

今後、物価と賃金上昇の好循環が続いた場合には、さらなる金利上昇の可能性を指摘します。

ニッセイ基礎研究所 福本勇樹金融調査室長
「今年1年間の間に最大で0.5%ぐらいの金利上昇があってもおかしくないぐらいの気持ちで、家計としては備えていただく」

金利が0.5%上がる場合は月々で8700円、総額で356万円ほど増えるため、備えが必要だといいます。