慢性的な人材難 介護ヘルパーが来なくなる日も?
小川彩佳キャスター:
命を預かる現場で、余力を持ってしかるべきなのに、ギリギリという状態がずっと続いています。
伊沢拓司さん:
そうですね。対応が難しくなっている現状はすぐ変えなければいけないにも関わらず、法制度の改正は、人材の流動に比べると遅いですね。

藤森祥平キャスター:
現在、40歳以上の国民は原則、毎月介護保険料を払っていますが、将来、保険料を払っていても介護サービスを利用することができなくなるかもしれません。
一つは慢性的な人材難です。厚生労働省によりますと、2022年の介護分野での新規就職者は54万8000人でした。一方で同じ年の離職者は61万700人となり、番組が調べたところ、2012年以降、初めて離職者の方が上回ったことが分かりました。
厚労省の推計では、2040年度までに約280万人の介護職員が必要だとしています。2019年度で比べると、プラス約69万人です。

大きな要因の一つが、介護職員の賃金の低さです。厚労省の資料によると、全産業の平均月給が36万1000円に対して、介護職員は平均29万3000円と、7万円近くも差が開いています。人が集まらないどころか、離れてしまうのは当然という流れです。
小川キャスター:
現在、賃上げムードの中、大手企業では春闘で満額回答も相次いでいます。介護職の給与は民間には追い付いていかないのでしょうか。

淑徳大学 社会福祉学者 結城康博教授:
介護事業所に入る収入と、介護職員が貰う賃金は、国が定める「介護報酬」から支払われます。今回政府は介護報酬の改定で、賃上げ率約2.5%(2025年度見込み)という財政措置をしましたが、民間企業の賃金が上がると、他産業と介護職員の賃金に差が開き、ますます介護職員の賃金の低さが問題になってしまいます。
小川キャスター:
介護からの離職がますます続いてしまいますね。
伊沢さん:
市場原理だけに任せておくのではなく、すぐにでも対応しないといけないのではないでしょうか。