「こんな金額を出せるわけない」“ニセコバブル”の裏で人手不足の介護業界
この“バブル”の裏で苦境に立たされているのが介護業界です。
ニセコエリアにある訪問介護の事業所では、現在40~50代の4人のホームヘルパーが働いています。全国的に人手不足にあえぐ介護業界ですが、こちらの事業所でも人材確保に苦しんでいて10年間スタッフは全く変わっていません。

業務時間を柔軟にするなどし5年間、求人を出し続けてきましたが応募は一件もありません。現在、2023年末に閉鎖された訪問介護事業所の一部の利用者を引き継ぎ、4人のヘルパーで65人の介護をしている状況です。
そこに追い打ちをかけているのが今回の“ニセコバブル”です。

ホームヘルプステーション 斉藤俊子さん
「(街中の求人を見て)もう言葉がないというか。大きなところがこんな金額を出して来たら『そっちに行ってしまうよね』というので納得。うちではこんな金額を出せるわけない。私たちも一時1500円まで募集出したが、新しい応募は来ないなと」
介護業界の賃金は国が定める介護報酬を前提としているため賃上げには限界があるといいます。

ホームヘルパーを16年続けている野崎さん。1日に10人あまりの利用者をまわっています。

介護訪問を利用している工藤明文さん(71)は、元々2023年に閉鎖されたニセコの訪問介護事業所を利用していて、かつては週に3回サービスを利用できていましたが、今は週に1回になりました。

工藤明文さん
「さびしくなったね。(料理を)自分で作るのと人に作ってもらうのは違うから」

ホームヘルパーを16年続けている野崎昌意さん
「ヘルパーに多く来てほしいという利用者もいっぱいいるが、そこだけ多く入るわけにはいかないし」
斉藤さんは今後もこの状況が続くことに危機感を抱いています。

ホームヘルプステーション斉藤俊子さん
「(介護事業所は)厳しくなる一方だと思っています。このサービスをどこまで皆さんに持続して提供していけるか。緊急があった時、何かあったときの対応ができなくなる」
こうした事態に地元住民は…

倶知安町の住民(82)
「介護が受けられない…介護受けられなかったら困るね」

倶知安町の住民(77)
「この先のことを考えれば、どんどん高齢者が増えて行って、国が(予算を)出さない限り難しいのではないかと思う」