急いだ飛行再開は「有事に向けた訓練がしたかった」か
一方で、3か月もの間オスプレイを使えなかった米軍の影響についてはー
「米軍で保有しているオスプレイは海兵隊が一番多くて400機程度と言われてます。また、米空軍と海軍も合計すると70機程度持っていると。特に海兵隊にとっては、老朽化したヘリコプターの代替としてオスプレイに一斉に切り替えてますから、いわゆる中型・小型の輸送機として使えるものはオスプレイ以外海兵隊は持っていないわけですね。ですから3か月間というのは、海兵隊としての機能が欠落したままきてしまった、ということだと思います」

「実際のところ、沖縄でもブルービーチなどで“アイアン・フィスト”が日米共同訓練として行われていますけど、オスプレイ抜きの訓練を最初から考えなければいけなかったと。実際にこういった台湾有事をにらんだような訓練で、オスプレイを使わないというような戦闘というのは想定できないですから、実際にはあまり役に立たない訓練をせざるを得なくなったというのが、この3か月だと思う。一刻も早く、特に海兵隊としては『オスプレイを最前線に復帰させて、台湾有事に備えた訓練をしていきたい』と、そんなふうに考えてると思う」
Q米軍にとってオスプレイの存在とは?
「海兵隊にとってみると、以前はヘリコプターで隊員を運んでいたものを全てオスプレイに切り替えた。400機もあるというのは、逆に言えばオスプレイ以外に運搬手段がないと、海兵隊は戦闘機など持っていますけれども、これは海軍の空母と組み合わせて使うもの。地上部隊と組み合わせて使って空輸するための飛行機というと大型のC130などを別にすればオスプレイしかない」
「最前線に兵士を送り込んでいく。そして物資を上空から投下して戦闘を支える、そういったいわゆる海兵隊の航空機、限りのある航空機という役割を持っているものだと思います」

沖縄の米軍基地にも配備されているオスプレイ。中国の動向ににらみをきかせながら、有事の際は兵士を前線に送るためには欠かせないものだと考えます。
「今、海兵隊は以前の“殴り込み部隊”というよりは、離島に前方展開をして、外洋に出てこようとする中国軍の艦艇や航空機を「迎え撃とう」というような作戦に変わっている。今までの、いわゆる海兵隊の連隊も“海兵沿岸連隊”というふうに名前を変えて、そして離島に先に送り込んでそこから戦う。またその離島が攻撃されたら別の離島に移動して、そこで戦うと。そのときに移動に使うための足というのがオスプレイなんですね」
「ですから、海兵隊が今考えているような一番新しい対中国の最前線の戦いで、オスプレイというのは欠くことのできない武器だという、航空機だということが言えると思います。今回急いだのは、やはりオスプレイを使わないでもう3か月経ってしまったと。そうすると訓練も十分できない、また対中国抑止という意味で欠落機能がそのまま残ってしまう。これでは話にならないなという、そういうことだったんだろうと思います」