小池百合子都知事の不誠実

テレビドキュメンタリーの『イントレランスの時代』(2020年、57分)から、80分サイズの映画『リリアンの揺りかご』を製作するにあたって、これまであまり触れることができなかった人物の責任についてフォーカスしました。小池百合子東京都知事です。

歴代都知事は、朝鮮人追悼式典にメッセージを送ってきました。しかし、2017年から小池百合子都知事は「すべての震災犠牲者を追悼したい」と、メッセージの送付を止めました。2017年9月1日の定例会見で質問された知事はこのように答えています。

小池百合子東京都知事

小池知事)
私は「すべての方々への哀悼の意を述べさせていただく」という気持ちには変
わりがなく、特別の形での追悼文というのを出すのは控えた。

記者)
虐殺の事実というのは、都知事としてどのように認識しているんですか。

小池知事)
これについては、いろんな史実として書かれているものがございます。どれが
どういうのかというのは、まさしく歴史家がひも解くものではないだろうか
と。

「虐殺があった」確かな事実と、「なかった」というデマを並べて、小池都知
事は「いろいろな史実がある」と言うのです。これが、「歴史修正主義」の恐
ろしさです。歴史修正主義によるウソは、確たる事実を「いろいろな意見の一
つ」にしてしまうのです。

本心では「虐殺はなかった」と小池百合子知事が思っているならば、東京都で知事を務める資格がありませんし、「虐殺が史実だ」と知っているならば言動はまさに歴史修正主義であり極めて悪質です。それとも、本気で「いろいろな史実がある」と思っているのでしょうか。だとすれば、愚かだということになります。