世界に通じるキャラクターを多数輩出してきた日本。急増する訪日外国人にも、日本のキャラクターは相変わらずの人気です。そんな中、日本では大人気なのに、世界ではまだまだ「すみっこ」に追いやられているキャラクターがいます。

キャラクターがしのぎを削る…東京駅から見える人気

東京駅の地下1階でキャラクターがしのぎを削る「東京キャラクターストリート」をのぞくと、開店前から「ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ」のショップには人が並んでいます。日本を代表する「ポケモン」や「スタジオジブリ」関連のショップには外国からの観光客が訪れ、好調な売れ行きであることが伺えます。

キャラクターストリートの入口に店舗を構えているのは「すみっコぐらし」(以下、すみっコ)。登場するキャラクターの多くが少し後ろ向きですみっこに集まっているという、日本の長いキャラクター文化の中でも類を見ない存在です。

すみっコぐらしのキャラクター

すみっコのショップも、他の店に負けず劣らずのにぎわいを見せています。しかし、その多くが日本人のようです。関西から来たという男性(36)は「人が多いですね。けれど、外国の方はあまり見かけない印象」と話します。

取材を進めると、外国からの客がいないわけではありませんでした。すみっコのグッズを買ったという香港から来た女性(28)は、数年前に街中の店で見かけてから気になって調べ、はまっていったといいます。「かわいい見た目だけでなく、キャラクターのデザインと設定の繊細さがお気に入り。自己主張が強くないタイプのアジアの人に合うのかも」と教えてくれました。

たしかに、2019年11月に公開された「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」は、香港、台湾、タイ、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、ベトナムのアジアの7地域でも上映されました。

日本と文化や感覚が似ているアジア圏では世界観が受け入れられてそうな一方で、中東や欧米、オセアニアでは映画は公開されておらず、まだすみっコぐらしのままのようです。

カギは「日本人あるある」 アジアでは受け入れられやすい?

すみっコの製造元の会社「サンエックス」広報室の和田くるみさんは「欧米では、すみっコぐらしの世界観やコンセプトの全てに共感してもらって受け入れられているという段階まではいけていない、と現状は分析しています」と明かします。

今後、アジアを中心に、現地の文化や旧正月など節句に関係する立案を強化していくといいますが、「すみっコぐらしの世界観は『日本人あるある』のようなところもあり、世界への展開拡大についてはまだまだ研究中」と和田さんは話します。

アジアでは受け入れられやすく、欧米ではほぼ未知だという「日本人あるある」の世界観とはどういうものなのでしょうか?

サンエックスに貼られたポスター