夫の看病15年、寝るのは深夜3時「絶対に悲観しない」

「夫は肝硬変で倒れて平成5年に前立腺がんになって、あっちこっち転移して3回手術して。朝は6時に起きて8時には病院に行って、おしっこの袋の付け替えから体拭いてやって。
昼は自分の仕事(県生活学校)。夕方また病院に行って食事させて、主人の洗濯物を持って帰って干し上げたらまた仕事ですよ。寝るのは夜中2時、3時。
そういう生活を何十年もしてきたから。よー生きて来たねって今思うと不思議です」

「原爆落ちてからね、何でもしなきゃいけない。“お前はそういう役回りだ”ってことを肝に銘じてましたのでね。風邪ひいたっちゃ一日寝れば治る(笑)
一日でも『あーきつかね』って思ったことないんですね。『あれもせんば、これもせんば』って頭は冴えるばかり。いちいちぐずぐずなんかしていられない」

保さんは2007年に83才で息を引き取りました。

「人間どんなドン底に落ちても必ず救い上げてくれる人がいるんですよ。だから絶対に悲観せずに。誰だって這い上がる力は持っている。それを自分で殺してしまって、自分が抑えてしまっている」

流産2回、死産1回、生き抜いてきた100年。吉村さんは2月、修学旅行生へ被爆の体験を語ることになりました。

次回は最終回、修学旅行生に伝えた吉村さんの思いです。