弱い地盤に打たれた"杭" 「それ相応の地震力で壊れてくる」
能登半島地震で多くのビルが、傾いたり倒れたりしたのはなぜなのか。

これは1964年の新潟地震の映像。液状化で多くの建物が横倒しに。建物を支えるための、「杭」が打たれていなかった。

杭は、地下深くの固い岩盤まで打ち込まれることが多い。また杭の強度については、国が基準を徐々に高めていった。しかし…

これは、弱い地盤に打たれた杭が地震の揺れで、どうなるかを確かめた実験。揺れが強くなると、亀裂が拡大。杭は完全に破断した。これでは、建物を支えることはできない。
楠教授は、能登で倒れたり傾いたりしたビルの多くで、杭が壊れた可能性を指摘する。楠教授が推定するビル倒壊のメカニズムとは。

激しい揺れによって、右側の杭が地中で折れる。すると、ビルは右側に傾き、左側の杭は基礎から抜ける。支えを失ったビルは砂や粘土層でできた柔らかい地面に沈み込み、完全に横倒しになった。

国土交通省も、杭が地下1メートルほどの場所で折れている可能性があると発表した。
楠教授
「昔の杭は今のように厳しく計算をするということがまだ行われていなかった時代のものもありますので、それ相応の地震力で壊れてくるということになります」
古い基準で作られた杭は、全国に大量に残されているという。


こうした杭を補強する、新たな技術も開発されている。ジェット噴射で、杭にセメントを巻きつけ、補強するというものだ。しかし、杭の補強については、関心が高まっておらず、対策が進んでいるとは言い難い。
自治体からの補助金などで、建物の補強は進んだ。一方で、見落とされてきた地下の耐震化。次なる震災で杭は揺れに耐えられるのか…。対策は、待ったなしだ。