亡くなった生徒が背中を押してくれる

齋藤さんの活動の最初の頃は講演が多く、亡くなった生徒の話を感情のままに伝えていた。その場で話を聞いて涙を流す人をたくさん見てきたが、その場で終わって行動につながらないことにも気付いた。そのため、最近は活動の中身も変わってきたという。

全国で実践的なワークショップを展開する齋藤さん

「震災のことを知らない子どもたちもたくさんいる。未来を生きる子どもたちの“生きる力”になるように実践的なワークショップや避難所運営の具体例に落とし込んでいる」

富士市立吉原第三中学校のワークショップでは生徒、教職員、保護者、市職員が一緒に防災を考えた

それでも、根幹にあるのは「亡くなった生徒の思いを伝える」という残る人生の役割だ。

「背中を押してくれるような気がします。勝手に思ってるんですけどね。『頼むよ』みたいに」

その覚悟は揺らぐことなく、齋藤さんはまた震災の経験と教訓を伝え続ける。
(SBS報道部 和田啓)

齋藤さんの震災当時の経験を綴った本「生かされて生きる-震災を語り継ぐー」を原案とした映画『有り、触れた、未来』が製作され、各地で自主上映会も行われている。