「地すべりによる“想定外の津波” 危険性は」
斜面の勾配が緩やかなケースでは、砂は比較的ゆっくりと滑り落ち、波は高くなりづらかった。
海底とは環境や条件が異なる実験ではあったが、有川教授は「急な勾配で大きな塊が動けば、大きな津波が起こることが確かめられた」と話す。

過去には3メートル超の津波が海底地すべりによって発生
海外では海底地すべりが原因の巨大津波も発生している。2018年9月のインドネシアのスラウェシ島での地震では3~5メートルほどの津波が確認されていて、その主な原因は海底地すべりだと考えられている。日本でも、今後30年以内に70~80%の確率で発生すると予測されている南海トラフ巨大地震(マグニチュード8~9)で海底地すべりが起きる可能性がある。

しかし、この海底地すべりによる津波は気象庁による津波予測や自治体のハザードマップには含まれていない。陸地の近くで海底地すべりが起きれば、気象庁の津波予測よりも“早く”津波が到達する恐れがあり、“注意報”しか出ていない地域であっても警報級の津波が来る可能性があるのだという。有川教授は「海底地すべりは海底が急に深くなるような地形で起こりやすい。特に沿岸部に住む人は自分の地域の地形を把握し、予測を上回るような早さで津波が来る可能性も考えて避難行動をとってほしい」と警鐘を鳴らす。