■安倍元総理「国葬」に賛否交錯

ーー安倍元総理の国葬については?

石破:
世の中に賛成論も反対論もあるが、国葬令という法律のようなものはないので閣議決定することで国葬は可能になります。それによって補正予算を組まなければいけない、ということではないし、法律的には何ら問題のないものです。ただそれに疑義を感じる方々もいるわけで、政府としては1人でも多くの国民のご理解を得るべく努力をしていくのではないでしょうか

ーー石破さんは国葬に賛成?反対?

石破:
悲劇的な亡くなり方をされて、何よりもお母様がご存命で奥様もあれだけ嘆き悲しんでおられるなかにあって、そういう賛否を論ずるということ自体、私はいかがなものかと思います。ひたすら哀悼の意を表するっていうことではないですか。

ーー保守層の中で神格化が進むのではという心配が出ています。

石破:
戦後では吉田茂元総理の国葬が行われました。吉田元総理が神格化されましたか?そうではないでしょう。日本の独立を果たし、サンフランシスコ条約あるいは日米安全保障条約、発効まで日本の独立ということを成し遂げました。そうした業績がある人を偲ぶことはあっても、神格化されたか?山本五十六元帥も国葬でしたが、神格化されたかと言われるとそうではないでしょう。国葬にしたから神格化するか、私はそういう実感は今後のことだからわかりませんが、それはないです

■鳥取島根選挙区 東京ー名古屋よりも遠い合区の戦い

ーー今回の選挙、鳥取島根選挙区の応援に行って感じたことは?

石破:
(鳥取島根選挙区は)合区だからと言って選挙区が倍になるわけではないし、候補者に有権者がアクセスする機会がとても少ない。物理的に鳥取から島根(選挙区は東西に300キロ)までは東京ー名古屋よりも遠い。そして隠岐の島もある。物理的に候補者本人が回れないなら、せめて衆議院議員が回らなければというのがあって。私自身の選挙と比べて何倍地元にいたかしら。そこでやっぱり候補者に有権者がアクセスできる機会をできるだけ増やしたいと。合区だから得票率が減りましたっていうのを何とか払拭したいと思いましたね。
うちの選挙区に限らず山形でも福島でも三重でもそうですけど、日本最大の問題は人口減少です。いま1年に60万人ずつ減っています。やがて1年に100万人減る時代が来ます。計算をすると、80年後は日本人が半分になる。それでこの国はもちますか、何でこんなに人口が減るんですか。何で出生率が一番低い東京、一番男性女性が結婚する東京に、何でそこに人が集まるんですか。過疎がどんどん進んで日本の人口が減り、この国大丈夫ですか。これについては日本国中どこでも聞く耳はずいぶん持っていただけたと思います。
ではどうするのかという話になりますが、エネルギーもある、食料もある、そして東京でしかできなかった仕事が町でもできるよ。そういう地方の時代を作っていかないとこの国は持ちません、という話はずいぶん(有権者に)聞いていただけたと思っています。