試験の11日前。宇部市の料理店でフグをさばく練習をします。
教えてくれるのは店の大将で、県調理師団体連合会・会員の西村友和さんです。

県調理師団体連合会・西村友和さん:
「ここにね、包丁つっこんで突き刺して。そうそうそう」
フグの内蔵の一部には毒があり、種類によってその部位が違います。試験では、フグの種類を見分けた上でさばき、食べられる部分を適切に分けられるかが試されます。フグをさばくには力と技術が必要ですが、智弥くんは大人にくらべて力が弱く苦戦します。
大人用に作られた包丁や料理台も、智弥くんには大きな壁となっています。
智弥くん:
「難しい・・・固いから」
力のなさを補おうと、ペンチやハンマーを使います。
西村さん:
「他のこの試験受ける人は普段からフグをおろしてるんですね。とにかく数をやってもらおうと思って」
さばくのに、20分の制限時間を10分以上オーバしてしまいました。時間内にさばけるかが課題のようです。
智弥くんは、学校が終わるとほぼ毎日店に通って練習を重ねました。店でアルバイトをしている高校3年生の村上修矢さんも一緒に試験を受けます。
村上修矢さん:
「智くんのほうが、やる気っていうか、小学生だからやっぱり好きなことがよく出来るみたいなところがあるので、そういうところではいろいろ教えてもらったりはしてるところありますね」
智弥くんは仲間でもあり、負けられない相手でもあります。
智弥くんは家に帰っても大好きなゲームを我慢して、フグの本を読んだりお手本の動画を見たりしてきたそうです。
父・中村嘉寿さん:
「すごいですよ子どもの成長っていうのは。やっぱ親が見たら1か月でも全然違いますし。この1週間2週間でも全然変わってますし。もう日々うれしいかぎりですね」
母・中村佑子さん:
「これやってみたらって言っても、いや僕どうせやってもできないからやらないって言う感じの、ちょっとおっとりした感じだったので。だけどこの話を僕頑張るって言いだしてからの1か月くらい、まあちょっとづつだけど積極的な、僕やってみるとかそういう面が見えてきたかなって感じがあるので、成長した部分すごくあるなって思ってます」
智弥くんの夢は料理人になって、自分の店に家族を呼ぶことです。
母・佑子さん:
「智くんが練習してきたことをぶつけて、全力で頑張ったらそれでいいと思うよ」