石川は最後まで2軍だった

「サンデードラゴンズ」より石川昂弥選手©CBCテレビ

内野の問題は二遊間だけではない。サードも不透明である。石川昂弥選手が当然そこに入って、新たに加わった中田翔選手と共に、力強いクリーンアップを構築するものと思っていたが、石川選手の春季キャンプは、最初から最後まで読谷の2軍だった。

日本代表チームの井端弘和監督が「侍ジャパン」3月の欧州代表との試合メンバーに石川選手を選んだ。「侍ジャパンに選ばれた選手がなぜ2軍?」。井端監督と立浪監督、短期決戦と長いペナントレース、指揮官の見方は違って当然なのだが、どこか腑に落ちない素朴な疑問である。

井上一樹2軍監督から「自信を持って1軍に送り込める」とお墨付きを得た石川選手。オープン戦の早い段階で1軍のスタメンに名を連ねてくれることに期待したい。

投手陣は順調なキャンプ

「サンデードラゴンズ」より高橋宏斗投手©CBCテレビ

多くのレギュラーポジションが決まっていない野手陣に比べて、投手陣は順調なキャンプだった。柳裕也、小笠原慎之介、そして、高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)という、2023年シーズンに規定投球回数に達した3投手はしっかり投げ込んだ。

手術からの復活をめざすエース大野雄大投手、竜での2年目となる涌井秀章投手、この両ベテランも順調である。さらに、根尾昂投手や梅津晃大投手も先発ローテーションに名乗りを挙げている。キャンプの最後に、2年間リハビリを続けていた岩嵜翔投手が150キロを超す投球を見せるという、嬉しいニュースもあった。

空きポジションを決めろ

投手陣は12球団でもトップクラス、しかし、忘れてならないのは、それでも勝てなかった2年間である。「もう1点あれば」と何度くり返したことだろう。点を与えなければ負けないが、点を取らなければ勝てない。

オープン戦、3試合目こそ4点を挙げて勝利したが、1、2試合目は無得点だった。零封負けはこれまで散々見せられたので、もうご勘弁いただきたい。立浪監督も「オープン戦から勝ちに行く」と語っている。くり返すが、最下位からの“下剋上”を狙うチームだからこそ、攻撃陣の顔ぶれを早めに決めて臨戦態勢へ。3試合目の相手だったタイガースは、シーズンまずこれで戦うというスタメンを組んできていた。

立浪ドラゴンズ3年目のペナントレース開幕まで1か月しかない。とにかく1日も早く、“竜の2024年オーダー”が見たい。例年よりも早い、弥生3月の微風を感じる中で、今一番の願いはそれに尽きる。                         

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。