空腹に耐えられず店に 年金暮らしの女性
年の瀬に1人で店に来た女性がいます。従業員の亜衣さんが優しく声をかけます。
(亜衣さん)「きょうは無料のおうどん?」
(客)「いいの?」
(亜衣さん)「大丈夫よ」
(客)「すみません、いただきます」
(キンちゃん)「いらっしゃい、こんにちは。いっぱい食べていってな」
(客)「おいしいわ」
(キンちゃん)「おいしい?よかったよかった」
(客)「食べたいなと思ってここ通っているんやけどね、なかなか入られへんかった」
(キンちゃん) 「声かけにくかった。遠慮せんと声かけてくれたらええで」
(客)「ええの?」
(キンちゃん)「かまへんかまへん」
(客)「年金だけだから。家賃が4万7000円だけど2か月分払わないといけない。年金が2か月にいっぺんでしょ、9万4000円払っている」
近くで一人で年金暮らしをする74歳の女性。空腹に耐えられず初めて店に入りました。年金は2か月分で13万円。家賃や光熱費を払うと残るのは2か月で3万円ほどです。
(キンちゃん)「無理やでな」
(客)「だからお米を買うのが精いっぱい。ごはんにみそ塗って食べてんねん」
(キンちゃん)「ごはん食べるのはここで食べたらええからな。そのかわりうどんしか出ないで、ごめんやけど」
(客)「それで十分や。本当にいい味している」
久しぶりの温かい食べ物。ゆっくりと味わいます。
(客)「西成の人は情があるもんな。みんなガラの悪いところと言うけどな。世話になってばかりではあかん。お返しもせなあかん」
(キンちゃん)「お返しなんかいらん」
キンちゃん、「いつでも食べにおいで」と声をかけ見送りました。
(キンちゃん)「ちょっと話聞いたらつらいね。ただ単に横着して仕事していなくて生活保護を受けている、それで飯食えないからここで食べるという人もおれば、今みたいに過去に何かがあってこっちに逃げるように来た人もいる。『こんなおいしいの久々に食べたわ』と言われたら、ああうれしいって思う」