撤退せず ヘイリー氏の宣言 背景には「献金」と「裁判」
「撤退しない」と宣言した背景には他にも2つの理由が考えられる。「大口献金者の存在」と「トランプ氏の裁判」だ。
去年の後半6か月だけを見ると、実はトランプ氏よりもヘイリー氏の方が多くの政治献金を集めている。大口献金者の資産家の中には民主党支持者もいる。トランプ氏はこれを批判して「ヘイリーは民主党支持者に踊らされている」とも言っているが、選挙戦継続宣言をしたということは、トランプ氏を好まない大口献金者たちがファイティングポーズをくずしていないということだ。トランプ氏はこうした支援者を「永遠に締め出す」と圧力をかけているが、この発言をしてから、むしろヘイリー氏への献金への関心が高まったとの報道もある。

そして、トランプ氏は裁判という「最大の不安要素」を抱えている。不倫相手の口止め料の不処理事件の裁判は3月25日に始まることが決まった。4つの刑事事件で起訴されているトランプ氏だが、ブルームバーグ通信が1月に激戦州7州で行った世論調査では「トランプ氏が有罪になったら投票しない」という人が53%、実刑判決だと55%が「支持しない」と答えた。裁判の展開次第ではヘイリー氏が流れをつかむことができるかもしれない。
「ヘイリーは撤退の仕方も分からない」トランプ氏がいら立ち
ヘイリー氏の「撤退しない」宣言をトランプ氏はどう受け止めたのか。以前までは「まだヘイリーが選挙をやっているとは知らなかった」と嫌味を言ってみせたりしていたが、「戦い続ける宣言」を受けて「ヘイリーは撤退の仕方も分からないのではないか」と、いら立ちをにじませた。

裁判への対応も忙しいトランプ氏としては、早く共和党候補者レースに決着をつけ、バイデン氏との対決構図を確定したい。「裁判」に関して批判されても、バイデン大統領に対してなら「司法を武器化している」「私は被害者なんだ」と反撃することができるが、ヘイリー氏から追及されると反論しづらい。
ヘイリー氏を撤退に追い込みたいトランプ陣営は今後、「内輪で争っている場合ではない。民主党を倒すために共和党の結束が必要だ」という論理で撤退圧力を強めていくものとみられる。














