異例の刑事裁判 その判断は
2022年、同じ事故をめぐっては異例となる3回目の刑事裁判が開かれた。ここでも双方の主張は対立した。
検察
「救護よりも飲酒の発覚を隠そうとコンビニで口臭防止剤を買うことを優先させた」
被告
「樹生さんを発見してから通報しようと思った。コンビニへ行ってしまったが、すぐに戻って警察官に申告している」
そして判決は…

裁判長
「主文、被告に懲役6か月の実刑判決を命じる。『直ちに』とは救助や報告の遅れは許されないと解され、飲酒を隠すために、誰にも断らずにコンビニに行った点は法の趣旨に反する」
事故から7年8か月、男に実刑判決が言い渡された。

真理さん
「きょうの判決を聞いて、これまでやってきたことは間違いじゃなかった。これからは妹たちのことを一番に考えてねと、言われたような気がしました」

両親の思いは届いたかと思われたが…男はこの判決を不服として控訴した。2023年9月、東京高裁は、長野地裁の判決を破棄し、逆転の無罪を言い渡したのだ。
判決は、コンビニへ行っていた時間は1分余りで、距離は50メートルほどと短かったと指摘。買い物の間も、樹生さんを救護する意思は持っていたとした。
検察は最高裁に上告した。

両親は、樹生さんが小さいころ一緒に遊んだ実家の庭に、コブシの樹を植えて育てている。
善光さん
「一緒に見ていてくれ。ちょっと頼りないところはあるかもしれないけど、できることは最後まであきらめないでやると」
真理さん
「助けを求めていた樹生は、すぐに救護してもらえなかったんですけど、そんな思いをする人が1人でも減らせるような、そういうことにつながる判決をいただけるように、最後まで一緒に、樹生に見守っていてほしい」