駅の利用客の安全を守るために設置されているホームドア。きょう、都営地下鉄ではすべての駅で設置が完了しました。課題だった費用を1000分の1にまで削減したアイデアとは。

記者
「電車が来ていますが、黄色い点字ブロックの上を歩いています」

通勤ラッシュ時の東京・JR御茶ノ水駅。ホームの幅が狭いところは杖をついている人も含め、黄色い線の外側を歩くしかない状況です。

駅の利用者
「私が降りる場所がエレベーターの近くなので、(人が)交差しまくりで、よく人が落ちないなと」
「ギリギリのところを電車が行ったりすると怖いなと思いますね。ホームドアがあったほうがいい」

都内の駅のホームドア設置率は年々上がり、去年3月時点で51.6%となっていますが、それでも半分近くの駅にはホームドアがありません。設置が進まない理由の1つとして、設置コストの問題がありますが…

きょう都営地下鉄では、押上駅でホームドアの運用が始まり、これで都営地下鉄の106駅全てで設置を完了しました。

これまで、ホームドアの開け閉めには車両とドアの間で無線を飛ばす装置が使われ、これを導入すると都営浅草線の場合、車両の改修費だけで20億円が必要でした。

では、どうやってコスト問題をクリアしたのか? それが、このQRコードです。

仕組みを考案した都の担当者は…

東京都交通局 岡本誠司さん
「カメラでQRコードを読み取り、電車が止まったと判断をし、ホームドアが開く」

車両の扉にあるQRコードを駅のカメラが読み取ることで、ホームドアの開け閉めができる仕組みを考えたのです。

車両の改修はQRコードを貼るだけなので…

東京都交通局 岡本誠司さん
「QRコードを貼ることによって、(費用は)270万円で済んだという試算になっている」

20億円かかるはずだった費用をなんと270万円に削減。こうして、都営地下鉄では一気に設置が進んだといいます。

一方、設置が進まない駅には、その理由に、▼ホームドアの重さに耐えられず、補強工事が必要、▼設置によってホームの幅が狭くなるなどもあると専門家は指摘します。

日本大学理工学部長 轟朝幸 教授
「技術革新によって課題を乗り越えていくことが重要。(ホームドアを)軽量化することで、ホームを改良したりしないで済む。ホームドア自体もスリム化することで、ホームの幅を確保できる」

安全を守るために、さらなるアイデアが求められています。