能登半島地震の発生から19日で50日目、能登の農林水産業は大きな打撃を受けています。支援は用意されていても、田植えの時期までに田んぼの整備を完了できるのかは不透明で、農家はジレンマを抱えています。

石川県珠洲市のコメの栽培面積のおよそ3分の1を占める正院町の飯塚地区。

用水路や水をくみ上げるポンプが壊れ、田んぼに水が供給できない状態が続いています。

谷地前吉昭さん(69)。およそ60ヘクタールでコメやソバを育てていますが、倉庫などが地震で倒壊しました。

倒壊した倉庫

今は損壊した自宅で生活を続けていますが、裏山には亀裂が入っている状態です。


谷地前吉昭さん(69)
「地滑りして崩れてきている。ギリギリここで止まっている状態で、きょうの夜から1週間以上雨が続いたら…危ないかなという気がしている」

谷地前さんは、斜面から離れた場所で自宅や倉庫を再建したいと話します。珠洲市では19日、農林水産業の事業者向けの県による説明会が開かれ、農業機械や施設の支援制度が示されました。


県によりますと、地震による1次産業の被害額は少なくとも2000億円に上るということです。

県里山振興室・中村弘和室長
「1枚でも多くの田んぼで作付け開始できるよう、県としてさまざまな施策を用意しました」

パイプラインの復旧は9割以上が補助されるということですが、業者は上下水道の工事に追われ、農業用水には手が回らない状況だといいます。

それでも谷地前さんは、なんとか今年もコメを収穫したいと話します。

谷地前吉昭さん
「少なくとも4月の頭には水が来てほしい。今年もやるからには品質の良い物を届けたい」