住吉 光キャスター:
長崎の暮らし経済ウイークリーオピニオン、今週も平家達史NBC論説委員とお伝えします
平家 達史 NBC論説委員:
よろしくお願いします、今日はこちらに関するテーマです。現在、NBCで放送中のドラマ『ユニコーンに乗って』が話題になっています。
主な登場人物は教育系アプリを手掛ける『スタートアップ企業』のメンバーです。
そして『ユニコーン』というのは、『創業10年以内で上場しておらず、評価額が10億ドル=日本円でおよそ1,400億円を超えているスタートアップ企業』のことを指しています。
そこで、今日のテーマは──
「アイデアを新ビジネスに!スタートアップ最前線」です。
ここ数年、『スタートアップ企業』は経済界で注目を集めていて、長崎も例外ではないんです。
住吉:
スタートアップ企業というと何か新しいことをやっている企業、というイメージなのですが、似たような言葉で『ベンチャー企業』というのもありますよね?
何が違うのでしょうか?

平家:
企業の概念を単純化していうと『ベンチャー企業』は ”既存のビジネスモデルを発展” させたり ”収益性の向上を目指す” 企業です。
『スタートアップ企業』は、ベンチャー企業の中でも、”新しいビジネスモデルを展開して社会にイノベーションを起こす” ような企業のことをいいます。
住吉:
スタートアップ企業にはどんな企業があるのでしょうか?
平家:
フリマアプリの『メルカリ』も2018年に上場するまで、国内有数のスタートアップ企業でしたし、国の内外で定額制宿泊サービス『HafH』を展開する長崎市の『カブクスタイル』もスタートアップ企業の一つです。

長崎市で活動するスタートアップ企業は、他にもいくつかあって、そのうちの一つを取材しました。
■ 2万人以上が利用する ”農作物の病気のオンライン診断サービス”
長崎市西坂町に事業所を置く創業3年目のスタートアップ企業『ラプラス』立ち上げたのは、佐世保高専出身の同級生3人で、農業を支援するAIの開発などを行っています。

その一つが、病気に侵された農作物をスマホで撮影するだけで何の病気かを調べられる『病害虫診断AI』です。

現在、2万人以上が利用していて国内トップシェアを誇っています。

LAplust 田中 宏樹 CEO:
「プログラミングとかコンピューターがもともと好きだったんですけど、我々が好きな、このエンジニアリングを確実に人の役に立てるために、より直接的に人の生きることに関わることができる第一次産業(農業)である必要があると」

ラプラスでは、現場のニーズに応える堅実なものづくりで農業の課題解決を目指しています。
『病害虫診断AI』のほかにも、『ミツバチの代わりに自動で受粉をしてくれるドローン』などを開発していて、業績は創業以来、右肩上がりです。
田中 CEO:
「農作業の楽しみを奪うような ものづくりだけはしたくない、と思っていて、あくまでも ”寄り添うような形” ”協業するような形”の病害虫診断とか、いまの農家さんたちと一緒に農業できる技術っていうのを目指しています。
社会における農業のあり方とかの様子を見ながら、最終的には植物工場とかに向かうような道筋を描いています」
平家:
スタートアップ企業が生み出す新しいビジネスモデルは市場に競争相手が少なく、成功すれば高い成長率が見込めるという特徴があります。
そして成功するスタートアップ企業が増えれば、経済の活性化にもつながることが期待されます。

このため国や自治体も、スタートアップ企業の支援に力を入れていて、例えば、長崎県はスタートアップ企業の資金調達支援を目的に、投資家とのマッチングイベントを開くための費用などを、今年度6月の補正予算に計上しています。
住吉:
とはいえ、アイデアはあっても『自分で会社を立ち上げる』というのはなかなかハードルが高いですよね?
平家:
実はその逆で、いま県内では若い人、中には学生のうちから起業を志す人が増えてきているんです。
今月、長崎市で開かれた『起業体験イベント』にも、学生の姿が多く見られました。