青森県八戸市で1月、当時5歳の娘を自宅の浴室に連れ込み、水を浴びせて放置し、死亡させたとして21歳の母親ら2人が逮捕された事案を受け、県は先ほど午前9時から会見を開きました。
会見内で青森県八戸児童相談所は「緊急度が高いという認識はなかった」などと話しました。
この事件は、2024年1月7日の午後5時頃~午後9時半までの間、八戸市の集合住宅で、当時5歳だった宮本望愛(みやもと・のの)ちゃんを浴室に連れ込み、水の入った浴槽にいれたうえ、冷水を浴びせて放置。その後、重度の低体温症による急性循環不全で死亡させた疑いで、望愛ちゃんの母親で八戸市柏崎4丁目の無職・宮本菜々美容疑者(21)と、その交際相手の関川亮容疑者(31)の2人が15日に逮捕されています。
この事案を受け、児童相談所を所管する県は16日午前9時から会見を開いています。
以下、県こどもみらい課の会見内で配布された資料の「事案発生の経過」、「関連事案の経過」です。
●事案発生の経過
2024年1月7日 女児が八戸市内の病院へ救急搬送
2024年1月7日 女児の死亡を確認
2024年2月15日 母及び母の内縁の夫を逮捕
●関連事案の経過
2023年6月 母子が千葉県松戸市から八戸市へ転入
2023年7月28日 青森県八戸児童相談所へ1回目の虐待通告
2023年7月28日 青森県八戸児童相談所が家庭訪問を実施。内縁の夫の親と面接し、女児の安否を確認したが、母子に会うことができず。その後も母及び母の内縁の夫へ連絡を試みるも、不通のことが多く、母子及び母の交際相手と直接面接することができなかった。
2023年9月22日 青森県八戸児童相談所へ2回目の虐待通告
2023年10月31日 青森県八戸児童相談所が母子及び母の内縁の夫と直接面接。虐待通告に関する指導を行い、女児の保育所利用の手続きを行うよう指導した。
2023年11月16日 八戸市が主催する八戸市要保護児童対策地域協議会実務者会議に青森県八戸児童相談所が出席。出席したメンバー(八戸市、八戸警察署)と母子の状況について情報を共有した。
2023年11月30日 青森県八戸児童相談所内の援助方針会議の結果、指導終結とした。
●今後の対応
青森県では、「児童虐待の防止等に関する法律」第4条第5項に規定する児童虐待の防止等のための必要な調査研究及び検証を行うため、「青森県児童虐待による死亡事例等の検証要領」に基づき、青森県社会福祉審議会児童福祉専門分科会児童処遇部会を開催し、今回の事案を分析・検証します。
会見内で青森県八戸児童相談所の細越所長は「(直接面接の際に)別室に子供をつれていき、子供の了解を得れば服をぬがせることもできたが、そこまで考えはいたらなかった。その時点では、緊急度が高いという認識はなかった」と話した。
県は15日の青森テレビの取材に対して「通告を受けて対応を取った。然る対応をしていた。瑕疵はなかった」としています。
以下、会見内での記者と青森県八戸児童相談所の細越所長とのやり取りの一部です。
青森県八戸児童相談所 細越亜起子 所長
「今思えばですね。家庭訪問をしたりとか、他の接触の仕方を考えるということができたと思うんですが、(訪問時の)そのときはそういう対策が取れませんでした」
Q.その要因はなんでしょうか?
「言い訳のように捉えると非常にあれなんですが。他にケガをしているお子さんの通告が相次いでおりまして、どうしてもそちらの方を優先してしまったというところはあります」
Q.緊急性の高いようなものへの対応を優先したという事実でしょうか?
「そうですね。状況的にそうでした」
Q.10月31日の直接面接について細かく確認させてください
「31日の確認では、服を着た状態で見える範囲でケガ・アザはなかった。あと、お子さんに聞いたけれども痛いところはないというようなお話をしたというところでしょうか。服は長袖ですね。寒くなってきた時期でしたので」
Q.警察発表では複数のアザがあったなどの発表もありましたが、日常的な虐待をうかがえるような状況ではありましたか?その兆候は感じ取れませんでしたか?
「10月31日の面接の状況では、感じ取ることはできませんでした。別室にお子さんを連れて行きましたので、お子さんの了解が得られれば、服を脱がせてキズ・アザを確認するということはできたかもしれないんですが、そのときはそこまで考えがおよびませんでした」
Q.先ほどほかに緊急度の高い案件があるというような話もありました。当該事案において児童相談所では緊急度は高くないというご認識であったということでしょうか?
「そうですね。10月31日時点では緊急度が高いという認識はありませんでした。10月31日の面接の内容とかで把握した事実では、救急で一時保護が必要だというふうに判断できるような事実はありませんでしたので、一時保護という検討にはいたっておりませんでした」