今年の春闘は異例ずくめです。50年ぶりとなる「月3万円」アップの要求に、「2か月も前倒し」の合意。こうした背景には人材不足に困る企業の人材つなぎとめ競争があります。

日本製鉄 労働組合連合会 幸野直通 会長
「優秀な人材の確保・定着、『基本賃金の改善3万円』」

日本製鉄の労働組合がきょう、春闘で会社に要求したのは月3万円の賃上げ。50年ぶりの記録的な高水準です。

一方、春闘の「春」を迎える前に、決着した企業も。

家電量販店のコジマはベースアップなど、平均8.8%の賃上げに大筋合意しました。例年より2か月も早い合意。異例ずくめの春闘はなぜなのか…

コジマ 紫藤竜二 取締役常務
「コロナが明けてから採用する企業が増えたことで、流通や小売りは(応募が)少なくなってきている。賃金で返していくことで従業員の定着に繋がる」

狙いは「人材のつなぎとめ」です。実際、転職市場はかつてないほどの盛り上がりが。民間の調査では調査開始以来、初めて転職求人倍率が3倍を超えました。

記者
「街の人に話を聞くと、かつてに比べて転職を自然に考えている人も増えているようです」
40代会社員
「(Q.「春闘」盛り上がっている?)今年は盛り上がってます。物価上昇 (上昇率)3%という数字が出ているので、それぐらいは(賃上げが)あるといいな」
30代会社員
「賃上げ要求できないなら、別のところ(会社)に行くことが選択肢の一つになれば良い」
20代会社員
「同じ仕事をするなら、なるべく(給与が)高い方が良いのは当たり前のこと」

専門家は企業と働き手の関係性に変化が生まれていると指摘します。

リクルート 藤井薫 HR統括編集部
「過去にないようなレベルで旺盛な求人活動がなされている。企業が既存の事業以外に、新たなビジネスサービスを作っていかなければならない。『変革』がカギになるので中途採用、キャリア採用を旺盛にしている」

一方で、働き手にとっては他の会社と待遇を比べやすくなったという側面も…

リクルート 藤井薫 HR統括編集部
「人に投資をする会社と、そうでない会社が働き手から見比べられてしまう。生き方や働き方を決める主権が企業から個人に移行している」

つなぎとめたい企業と、より良い環境を求める働き手。今年の春闘は例年とは異なる力関係が左右しそうです。