(ブルームバーグ):トランプ米大統領がグリーンランド併合に反対する北大西洋条約機構(NATO)同盟国に追加関税を課すと脅したのはレッドライン(越えてはならない一線)で、EUは経済的威圧への対抗を念頭に用意された措置の活用を検討すべきだと、ドイツのクリンクバイル財務相が19日主張した。
同財務相は、「われわれは新たな挑発と敵意を次々と目の当たりにしている。トランプ氏がそれを意図しているからだが、それが限度に達したと、われわれ欧州人は明確にする必要がある」と、フランスのレスキュール経済・財務相と並んでベルリンで語った。
さらに「経済的な脅迫に対して、欧州には既に法的に確立された対抗手段が存在する。今こそ、こうした措置の活用を検討すべきだ」と続けた。
トランプ氏は16日、「グリーンランドの購入」で取引が成立しない場合、欧州8カ国からの輸入に2月1日から10%の関税を課し、6月にはそれを25%に引き上げると発表した。
事情に詳しい関係者によると、トランプ氏がこの関税計画を実行した場合への対応として、EUは930億ユーロ(約17兆円)相当の米国製品を対象とした報復関税賦課を協議している。この報復関税についてEUは既に承認を済ませ、必要に応じ速やかに導入することが可能な状態にある。対象となるのは、米ボーイングの航空機や米国製自動車、バーボンウイスキーなどだという。
クリンクバイル氏は「もはや限界だ。グリーンランドの領土の完全性と主権、デンマークへの脅威を見ると、われわれが脅迫に屈することなく、対抗措置を取ることが期待されていると、交渉の中で感じている」と語った。
また、「欧州には行動をとる用意があると常に明確にしておくことが不可欠だ。それは土壇場で準備できるものではない。その準備はまさに今、進める必要がある」と呼び掛けた。
レスキュール氏は、EUで最も強力な報復手段とされる「反威圧措置(ACI)」を含む全ての経済安全保障措置の活用を検討するようEUに促した。
ACIはEUまたはその加盟国の政策決定に圧力をかけようと貿易上の措置をとる第三国を念頭に制定され、関税やテクノロジー企業に対する新税の賦課、EU市場へのアクセス制限などを可能にする。ただ、事態のエスカレート抑制を主な目的としており、実際に発動されたことは一度もない。
「250年に及ぶ同盟国の間で脅迫が行われるのは容認できない」とレスキュール氏は述べ、「過去数時間にあったような発表が発表のままで終わり、実行に移されることがないよう、意味を示す形でわれわれは速やかかつ十分に対応すべきだ」と訴えた。
原題:Germany Says Trump Reached Red Line With Greenland Threat (2)(抜粋)
(レスキュール仏経済・財務相の発言などを加えて更新します。更新前の記事では、第1段落の言い回しを記者の訂正に従って修正しています)
--取材協力:William Horobin.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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