国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、トヨタなどの自動車メーカーが中国の新疆ウイグル自治区で強制労働によって造られたアルミニウムを自動車生産に使っている可能性があるとする報告書を発表しました。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが1日に発表した報告書によりますと、特に電気自動車の部品として使われるアルミニウムは中国が世界の6割を生産しており、うち15%以上が新疆ウイグル自治区で生産されているということです。

調査の結果、新疆ウイグル自治区にある大手アルミニウム工場でウイグル族やトルコ系のイスラム教徒が強制的に働かされており、そこで製造されたアルミニウムをトヨタやゼネラル・モーターズ、フォルクスワーゲンなど中国国内に工場を持つ大手自動車メーカーが使っている可能性があるということです。

報告書は「消費者はウイグル族の虐待につながりかねない自動車を購入している」と警告、メーカーに対して、アルミニウム生産工場の場所を開示することや新疆ウイグル自治区からの調達を1年以内にやめること、日本政府などに対しては、強制労働のリスクが高い地域からのアルミニウムの輸入を禁止する法律を作ることを求めています。

これについて、トヨタは「人権尊重をはじめとするグローバル企業としての行動指針に基づき、「人間性尊重」の考え方を大切にしています。仕入先に対しても、人権の尊重と、あらゆる人権侵害に関与しないことを求めています」とコメント、「報告書についても、今後、内容を精査して参ります」としています。

新疆ウイグル自治区をめぐっては、国連が2022年、「深刻な人権侵害が起きている」とする報告書を発表。特に「再教育施設」で拷問や虐待が行われた可能性があると指摘しましたが、中国政府は「職業訓練や中国語の研修を行う施設であり、強制収容所ではない」と反論しています。