(ブルームバーグ):米ウォルト・ディズニーのボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は数週間前、カリフォルニア州サンタモニカのレストランで朝食をとっていた。
同席していた人物が、テーマパーク部門トップ、ジョシュ・ダマーロ氏について「CEOに就任すれば素晴らしい仕事をするだろう」と発言すると、会話は険悪な雰囲気になった。
取締役会は決定しておらず、そのような話がどこから出てきたのか「全く分からない」と、アイガー氏は声を荒げて反論したという。やりとりを目撃した関係者が明らかにした。
ディズニーは来年初めに次期CEOを任命する予定だ。冒頭の会話はディズニーの経営陣や元幹部、業界関係者の間で、ダマーロ氏が後任に選ばれるとの見方が広がっていることを示す。
取締役会はダマーロ氏に加え、エンターテインメント部門共同責任者のダナ・ウォルデン氏とアラン・バーグマン氏、スポーツ局ESPNを率いるジミー・ピタロ氏の4人の内部候補を検討している。アイガー氏の契約は2026年12月までとなっている。
ディズニーは後継者選任委員会の開催回数を公表しているが、それ以上の詳細は明らかにしていない。委員会はモルガン・スタンレーで円滑なトップ交代を監督した実績を持つジェームズ・ゴーマン氏が主導している。
同委員会の目的の一つは、過去の失敗を繰り返さないことにある。ディズニーはこれまでアイガー氏の引退を繰り返し先送りにし、その過程で多くの内部候補者を失ってきた。ディズニーは20年、アイガー氏の主導で当時テーマパーク部門トップだったボブ・チャペック氏をCEOに起用したが、22年に解任。再びアイガー氏を呼び戻した経緯がある。
今回は社内外で、後継争いは事実上ダマーロ氏とウォルデン氏の一騎打ちになるとみられている。
20年からダマーロ氏が率いるテーマパーク部門は、ディズニーで最も収益性が高い。このエクスペリエンス部門にはテーマパーク、クルーズ船、消費者向け製品が含まれ、新型コロナウイルス禍以降、毎年売上高を伸ばしてきた。
事情に詳しい関係者によれば、後継選びを議論するディズニー幹部らの間では、ダマーロ氏がディズニーの文化を深く理解している点が評価されている。同氏はディズニー勤続およそ30年だ。
一方、ウォルデン氏は19年、ディズニーがFoxのエンターテインメント部門を713億ドル(約10兆5000億円)で買収した際に同社に加わった。最近では、保守派活動家チャーリー・カーク氏の殺害者を巡る発言でジミー・キンメル氏の深夜トーク番組を放送休止とした件で中心的役割を担い、数日後の復帰を決める社内協議にも深く関与したと言われている。

原題:Disney Parks Chief Is Looking Very Much Like the CEO in Waiting(抜粋)
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