インド北部で、かつて破壊されたイスラム教のモスクの跡地にヒンドゥー教の巨大な寺院が建設されました。宗教対立の新たな火種となるおそれがあります。
インド北部ウッタルプラデシュ州アヨディヤで22日、ヒンドゥー教寺院の落成式が開かれました。ヒンドゥー至上主義を掲げるモディ政権が主導した事業で、総工費は日本円にしておよそ320億円に上ります。
この土地には以前、少数派のイスラム教のモスクがありましたが、1992年に強硬派のヒンドゥー教団体がモスクを破壊。全土でイスラム教徒ら2000人近くが死亡する大規模な暴動につながり、宗教間の亀裂が深まりました。
今年実施予定の総選挙で3期目を目指すモディ首相は、落成式で「インド国民にとって感動的な瞬間だ」と述べ、成果をアピールしましたが、野党からは、「宗教が政治利用されている」との批判が上がっています。
寺院の建設で、宗教対立が再燃することも懸念されていて、インドの日本大使館は、「暴力事件に発展するおそれが排除できない」として、宗教施設などに近づかないよう注意を呼びかけています。

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