4月に日本銀行で行われた植田総裁のもとでの初めての金融政策決定会合で、「拙速な金融緩和の修正はリスクが大きい」など、政策の修正に慎重な意見が相次いだことがわかりました。

植田新総裁のもとで行われた4月の金融政策決定会合で日銀は、大規模な緩和の維持を決めました。

日銀は、その議論の過程を記した「議事要旨」をきょう公開しました。

それによりますと、委員からは先行きの不確実性が高いことから、2%を超える物価上昇が続くリスクより「『拙速な金融緩和の修正によって2%実現の機会を逸してしまうリスク』の方がずっと大きい」といった政策修正に慎重な意見が相次ぎました。

また、日銀が目指す「物価と賃金の好循環」を実現するうえでカギとなる賃上げについて、複数の委員が今年の春闘で「予想以上の賃上げが実現する見通しである」としたうえで、「金融緩和の維持によって賃上げのモメンタム(勢い)をしっかりと支え続けることが必要である」と大規模緩和を維持する必要性を指摘しました。

4月の会合では、物価の先行きについても議論され、何人かの委員は、すでに輸入物価がピークアウトしていることなどから、「米欧のように物価上昇率が高止まりする可能性は大きくない」との見方を示したということです。

一方、一部の委員からは、「賃金と物価の好循環の兆しが表れはじめており、政策対応が後手に回らないよう、基調判断を適切に行う必要がある」といった意見も出ました。

4月の会合で初めて打ち出された過去25年間の金融政策の「レビュー」については、委員から「客観的で納得性のあるレビューとするため、特定の政策変更を念頭に置くのではなく、多角的に行うことが望ましい」などの声があがりました。