2022年度の水産白書が公表されました。

ロシアによるウクライナ侵攻や円安などで水産物の輸入額が3割近く上昇したことなどをとりあげ、国内での生産を増やし、食料安全保障を強化すべきだと強調しました。

2022年度の水産白書では、▼新型コロナからの世界的な経済の回復や、▼ウクライナ情勢によるサプライチェーンの混乱、▼急速な円安などが重なり、輸入水産物が高騰したと指摘しました。

去年の水産物の輸入量はおととしと比べてほとんど横ばいでしたが、輸入額は28.6%増加し、2兆711億円となりました。1960年の調査開始以来、過去最高額です。

この影響で、去年の生鮮魚介類の消費者物価指数は前の年より14%上昇。一方、価格の大幅な上昇や1人あたりの生鮮魚介類の年間購入量は14%減少しました。

また、食の簡便化志向が高まっていて、調理にかかる手間も購入量減少の一因だと指摘しています。

魚介類などの水産物は国際的な需要の高まりで価格が上昇傾向にあり、2000年代中ごろから日本が他国との競争で「買い負ける」ケースが増えています。

今後、魚介類の国際的な価格がさらに上がれば、日本が高い魚介類を買えなくなることも予想され、水産白書では食料安全保障の観点から、養殖などによる国内生産を強化するべきと強調しています。