黒田総裁の任期が近づく中、日銀が金利抑え込みの新たな施策に乗り出します。長期金利が6営業日連続で日銀の設定する上限の0.5%をつけるなか、きのう日銀は一部の国債に対する“貸出料”を引き上げると発表しました。一体、どのような狙いがあるのでしょうか。

きょうの債券市場では一時、長期金利が日銀の設定する上限の0.5%をつけました。

上限に達するのは、きょうで6営業日連続です。

これは、黒田総裁の任期が迫る中、次の総裁のもとで大規模金融緩和策の見直しが行われるのではないかとの思惑などから、日本国債に売り注文が集まっているためです。

長期金利の上昇圧力が高まる中、きのう、日銀は日本国債の一部銘柄に対する“貸出料”を引き上げると発表しました。

今月27日から金融機関や投資家などに国債を貸し出す際の“貸出料”である「最低品貸料」を0.25%から原則として1%に引き上げます。

その背景には一体何が・・・。

専門家は、日銀にはある狙いがあると話します。

東海東京証券 佐野一彦チーフ債券ストラテジスト
「日銀は外国人投資家などによる大規模な空売りをしにくくして、これ以上の金利の上昇を抑えたいのだと思う」

専門家が指摘するのは、外国人投資家らによる国債の「空売り」です。

一部の外国人投資家らは、日銀から金融機関などを経由して借りた国債を「空売り」し、国債の利回りが上昇したときに買い戻すことで利益を得ています。

その結果、大量の売り注文が集まり、長期金利は上昇。

これに対し日銀は、“貸出料”を引き上げることで国債を借りにくくし、金利上昇の原因の一つである「空売り」を抑制する狙いがあるといいます。

一方で、専門家は今回の措置が市場に対して悪影響を与える可能性があるとも指摘します。

東海東京証券 佐野一彦チーフ債券ストラテジスト
「日銀から国債を借りにくくなることで、債券市場の流動性がさらに低下する可能性もある」

JNNの取材に対し日銀は今回の措置について、「国債補完供給の趣旨に即した利用を促すことで市場取引の円滑を確保して金融市場調節の一層の円滑化を図る観点から実施する」とコメントしています。