(ブルームバーグ):中国のAIスタートアップ、DeepSeek(ディープシーク)は、AIエージェントを訓練する革新的な手法の詳細を明らかにした。AIエージェントの学習効率を高めると同時に、暴走のリスクを最小限に抑える可能性がある。
DeepSeekは、創業者の梁文鋒氏を含む約130人が共同執筆した約1万語の論文で、「ディープシーク・エラスティック・コンピュート(DSec)」の構想を発表した。同論文は、査読前の論文が掲載されるオンラインサイト「arXiv(アーカイブ)」に投稿された。
DeepSeekによると、DSecは、AIエージェントが一連のタスクの達成を試みる際にテスト環境となる、いわゆる「サンドボックス」を数百万単位で処理できるように設計できる。DSecの一つの運用ユニットで対応できるサンドボックスの数は、1日当たりだと約300万で、同時では38万という。
エージェントが稼働している時にはコンピューティング能力をエージェントに割り当て、次の指示を待っている時には割り当てないため、この手法だとリソースをより効率的に利用できるとしている。同社は、サンドボックスの90%は、要求された中央処理装置(CPU)能力の5%以下しか使用していないと推定している。
仮想エージェントを活用し、人間の関与を減らしながら複雑なタスクを遂行する「エージェント型AI」は、ホテルや航空券の予約からソフトウエアコードの作成まで、幅広い用途で普及している。米メタ・プラットフォームズの新たなAIエージェント「Muse(ミューズ)」は今週、モバイルアプリのランキング首位に急浮上。買い物やレストラン予約に利用する消費者の支持を集めている。
しかし、AIエージェントの自律的な行動を巡っては、技術のリスクに対する懸念が世界的に高まっている。特に、AIエージェントがサンドボックスを抜け出してウェブサイトに不正侵入した事例が相次いだことが拍車をかけた。今月退職した米アンソロピックのAI研究者は、他の社員にも自らの仕事を見直すよう呼びかけ、より高度なAIを開発する企業は「われわれの命を賭けにさらしている」とした。
DeepSeekは、これまでの経験から、タスクを遂行中のエージェントは「信頼できない」とし、DSecのプラットフォームには厳重な監視が必要だと指摘した。
執筆者らは「エージェントはファイルシステムを破損させたり、リソースを使い果たしたり、システムの構成要素に干渉したりする可能性があり、展開作業や同じ環境で稼働する他の処理に支障を来す恐れがある」と説明。「このプラットフォームでは、エージェントが引き起こす障害を封じ込めて原因を特定するため、細かいアクセス制御と問題行動の分析が必要になる」と記した。
論文ではさらに、「意図されていない経路」を通じて回答を入手したり、実行環境を損傷させたりするなど、エージェントによる問題行動の具体例を挙げている。
論文は「単一の仕組みだけで、エージェントのあらゆる問題行動やシステム障害を防ぐことはできない」と指摘。「そのため、新たに生じる問題を特定できるよう監視能力を高め、モデルの進化に合わせてDSecを継続的に強化する」としている。
原題:DeepSeek Tests Efficient, Safer Method for Training AI Agents(抜粋)
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