ライト米エネルギー長官は、ディーゼル燃料の輸出規制を巡るトランプ政権内の議論が激しくなる中、米国が規制に踏み切る可能性に備えるよう石油業界幹部に伝えた。

事情に詳しい複数の関係者によると、ライト氏は22日遅く、企業幹部との電話協議でこうした考えを伝えた。これに先立ちトランプ大統領は、ディーゼル燃料の輸出規制を検討するよう政権当局者に促したと述べていた。

輸出規制の可能性は23日も引き続き協議されたが、最終決定には至っていない。トランプ政権の主要高官の間では意見が分かれ、石油業界幹部は、いかなる禁輸措置も最終的には世界的なコスト上昇につながるとホワイトハウスに警告している。政権内の議論や業界幹部との協議については、非公開の話し合いだとして匿名を条件に関係者が明らかにした。

生活コストを巡る有権者の懸念が大きな争点となっている11月の中間選挙を前に、トランプ氏側近の間で意見が分かれ、業界も反対していることは、燃料価格の抑制に向けて大統領が取り得る有効な選択肢がほとんどないことを浮き彫りにしている。批判的な立場からは、ディーゼル燃料の禁輸で一定の負担軽減が見込めても長続きせず、エネルギー市場の混乱により効果が相殺される恐れがあるとの指摘が出ている。

ライト氏は23日、代わりにこの問題に対する自主的な解決策の可能性を強調した。政府がディーゼル燃料の海外販売を禁止しなくても、業界が自主的に国内供給を増やせるようトランプ政権が支援することを検討していると述べた。

ライト米エネルギー長官(9月15日)

ライト氏はエコノミスト誌のイベントで「米国でのディーゼル燃料の供給を増やし、価格への上昇圧力を抑えるため、業界とより協力的な取り組みを進めている」と述べた。「だが、製油所の処理量を減らすような強硬な手段を使わず、より簡単で自主的かつ協力的な方法で実現できる」と語った。

その後、ライト氏はさらに明確に、ディーゼル燃料輸出の全面禁止は検討対象ではないとの見解を示した。

ライト氏はニューヨーク・タイムズ紙の別のイベントで「ディーゼル燃料の全面的な禁輸や輸出をゼロにすることは誰も望んでいない」と発言。「そうしたことは議論されていない。議論しているのは、米国により多くのディーゼル燃料を供給し、同時にガソリンやジェット燃料などの供給を最大限維持するために、何が最も効率的な方法なのかということだ」と語った。

ライト氏は23日遅く、輸出規制が本格的に検討されていることを知らせるため、業界幹部に電話した。事情に詳しい関係者によると、この協議は、全面的な禁輸を回避できる自主的な対応について業界の支持を得る上で重要だったという。

一方、ホワイトハウス当局者は、政権が90日間のディーゼル燃料輸出禁止計画を策定しているとのポリティコの報道を「フェイクニュースだ」と否定した。事情に詳しい関係者によると、政権当局者は一部の業界関係者にも接触し、この報道を否定した。

ディーゼル燃料価格の急騰により、共和党が中間選挙で上下両院の多数派を維持する取り組みが危うくなるとの見方から、輸出規制の可能性を巡る政権内の議論は激しさを増している。グラスリー上院議員(アイオワ州)やサリバン上院議員(アラスカ州)ら共和党議員から、何らかの禁輸措置を求める声が相次いでいることも議論に拍車をかけている。

一方、クレーマー上院議員(ノースダコタ州)など、輸出禁止に反対を表明している共和党議員もいる。

貨物輸送や農業機械の燃料として広く使われるディーゼル燃料の小売価格は今週、過去最高を記録した。全米自動車協会(AAA)によると、22日の全米平均価格は1ガロン当たり6.52ドルだった。

23日に行われた議員やトランプ政権当局者との電話協議で、業界幹部は潜在的なリスクに関する警告を強めた。輸出規制による価格抑制効果はごく短期間にとどまり、その後は逆効果となってディーゼル燃料だけでなくガソリンの価格も上昇するとの見方を示した。製油所や石油生産者が生産を減らせば、価格抑制効果は数日以内に消える可能性があると指摘した。

さらに業界側は、中南米や欧州の米同盟国でディーゼル燃料価格が上昇するなど、世界経済への影響が生じる可能性も強調した。事情に詳しい関係者によると、ホワイトハウスに伝えた内容には、米国製ディーゼル燃料の世界への供給を絶てば欧州でリセッション(景気後退)を引き起こし、その影響が速やかに米国にも波及する可能性があるとの警告も含まれていた。

原題:Wright Warns Industry of Diesel Export Cuts as Debate Heats Up(抜粋)

--取材協力:Ari Natter、Will Kubzansky、Elizabeth Elkin、David Wethe、Erik Wasson.

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