(ブルームバーグ):日本銀行の植田和男総裁は18日、金融政策運営について「政策の局面が変化した」と述べた。今後の利上げペースや幅も柔軟に対応するとし、利上げ継続に前向きなタカ派姿勢を示した。利上げを決めた決定会合後の会見で語った。
植田総裁は、一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率が2%の目標に近づく中で、上振れを回避して安定させることが重要になっていると説明。これまでは、物価の基調を2%に向けて「押し上げることが短期的な政策の狙いだった」が、今後は2%程度での定着を目指すとした。
特定の利上げペースは念頭に置いていないとしつつ、物価情勢次第では、連続利上げやこれまでの0.25ポイントの利上げ幅を拡大するなど「特定のやり方を排除しない」と指摘。一方、市場に不測の事態を発生させるような大幅な利上げを避けるよう、政策運営を行っているとも語った。
日銀は同日の決定会合で、政策金利を0.25ポイント引き上げ、1.25%程度にすることを賛成7・反対2で決めた。利上げは6月会合以来、3カ月ぶりで、植田体制下で最速のペース。政策変更後も金融環境は緩和的とし、会見では利上げ継続姿勢を一段と鮮明にした。

決定会合の結果発表後、採決で2人が反対したことから、外国為替市場では円売りが優勢となり、対ドルで157円台に下落していた。植田総裁の発言を受け、一時156円台半ばまで下げ幅を縮小する場面があったが、踏み込み不足との見方も根強く市場の見方は分かれている。足元では一時158円台前半まで円安が進んだ。
大和証券の南健人シニアエコノミストは、「局面変化」との総裁発言について、物価の上振れが高まる中、利上げを早めなければいけないと示唆している発言だった、と指摘。「非常にタカ派だった、そのような印象をつけたいと発言したのだと思う」と述べた。
一方で、住友生命保険の武藤弘明エコノミストは「ややハト派っぽい感じはした」と所感を述べた。今後の利上げの時期やペースについては、慎重なトーンで受け答えしていたと印象を受けたという。「これまでと方向性やトーンは全く変わっていない」とも話した。
今後の市場は物価目標達成までの日銀の距離感などを探りながら、金融政策の先行きを占うことになる。植田総裁は物価の基調の2%定着を確認するにはしばらく時間がかかる」としつつ、「それをずっと見ないと、次の政策ができないというわけではない」と発言。基調は「2%の周辺にだんだん収束しつつある」とも述べた。
ブルームバーグ・エコノミクスの見方
「植田総裁発言はわれわれの想定以上にタカ派的だった。ただ、利上げに対する政治的な抵抗は引き続きリスクとなる。浅田・佐藤両氏の反対はハト派的シグナルで、景気刺激を重視する高市首相が、利上げペースの加速を望んでいない可能性を示唆している」
木村太郎シニアエコノミスト
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ベッセント米財務長官
政府は前回の7月会合の開催中に円安是正を狙った為替市場介入に動き、直後に米当局も異例の協調行動に踏み切ったことが、市場の9月利上げ観測を高めた。この間、ベッセント米財務長官から日銀の利上げ継続に期待感を示す発言が相次いでいた。
米財務省の発表によると、ベッセント長官は8月に行われた植田総裁との会談で、「円の大幅な過小評価」に対処するために日本当局が講じた「断固とした市場措置と金融政策上の対応に強い支持」を表明した。
同会談内容について問われた植田総裁は、「ノーコメント」として言及しなかった。その上で、「金融政策は為替をコントロールするために行っていない」と語った。
(発言の詳細を追加して更新します)
--取材協力:氏兼敬子、市原佳菜子.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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