(ブルームバーグ):韓国の李在明大統領は18日、韓国が約束した3500億ドル(約55兆円)の対米投資に関連する事業に関する米国との協議について、眠れないほど頭を悩ませていると明らかにした。ほぼまとまりかけていた合意の一部を受け入れ難いと判断したが、現在は協議を再開しているという。
李氏は急きょ開いた記者会見で、「私自身、このことを考えて眠れない夜を過ごした」と述べ、「非常に重い問題だ」と語った。この発言は、トランプ米政権と昨年合意した投資パッケージの実行に向け、韓国が直面する難しさを浮き彫りにしている。米韓は合意に基づく第1弾の事業選定を進めているが、遅れは米国側の不満を招き、トランプ大統領は先月、米韓合同軍事演習を突如縮小した。
韓国は商業的に実行可能と判断した事業のみを進めると李氏は説明。これは米政府との「非常に困難」な交渉を経て、韓国側が合意に盛り込むよう求めた条件だという。両国が大枠の合意から個別の投資案件を巡る協議へと移る中、この重要性が一段と増していると李氏は指摘した。
米国による関税引き上げを回避するため日本が示した類似の約束を踏襲した韓国だが、日本は5500億ドルの投資計画実施に向け、韓国より速やかに動いている。
李氏によると、韓国の国益を損なわず、米韓双方に利益をもたらす事業の枠組みを整えることを目指し、両国政府は協議を再開している。「いかなる関係や圧力、強制にも左右されるべきではない」と主張したが、「米国がそうしていると言っているわけではない。私が信じる原則を述べているだけだ」と話した。
米政府は先に、韓国が投資の約束を十分に履行していないとみて不満を示していた。両国は第1弾事業の発表に近づいていたものの、韓国は最近、合意内容をさらに詰めるため追加の時間を求めた。
国民に謝罪
李氏は一方、トランプ氏から圧力を受けているにもかかわらず、米国の対イラン戦争に加わるためホルムズ海峡に韓国軍の部隊を派遣することはないと表明した。「戦争への関与や介入は一切ない」と述べ、「その目的で部隊や軍事資産を派遣することもない。われわれはこれまでその原則を守ってきたし、その原則は今後も変わらない」と強調した。
18日発表された最新の世論調査では、李氏の支持率が37%に低下し、過去最低を更新した。今年は一時67%の高い支持率を得ていたが、中東への派兵を巡り国内で強い反対がある。
ソウルの調査団体ツァイトガイスト研究所のオム・ギョンヨン所長によれば、こうした発言は李氏の支持基盤には歓迎される可能性がある一方、安全保障上の重要なパートナーである米国との緊張をさらに高める恐れがある。
オム氏は「それを聞いた米国がどう感じるか想像してみればいい」と述べ、より外交的な表現を使う余地があったと分析。「中核的な支持層を意識した言葉だったようだが、大統領の発言としては問題があるように映った」との見方を示した。
経済を巡り、李氏への不満を強める国民は多い。世界的なAI投資拡大で、半導体大手のSKハイニックスとサムスン電子が過去最高益を上げる一方、有権者はそうしたAIブームの恩恵をほとんど実感していない。各種調査では、ソウルの高い不動産価格などに対し不満が強まっていることが浮き彫りになっている。
李氏は、支持率回復を狙った記者会見の冒頭で、「厳しい状況の中で日々の暮らしに苦労し続けている国民」に謝罪した。「国民から突然、失望と懸念の波が押し寄せたように感じ、戸惑った」と述べる一方、「国民は常に正しい」と付け加えた。
原題:Korea’s Lee Says $350 Billion US Deal Causing ‘Sleepless Nights’、Korea’s Lee Vows Not Get Drawn Into Iran War as Support Sinks(抜粋)
--取材協力:Myungshin Cho、Youkyung Lee、Soobin Kim.
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