(ブルームバーグ):日本銀行は18日の金融政策決定会合で政策金利を従来から25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げ1.25%としたものの、採決で審議委員2人の反対が出るなど賛否が分かれたことが為替市場での円安圧力につながったとストラテジストらはみている。
円相場は対ドルで一時ニューヨーク終値比0.8%安の157円14銭と3日以来、およそ2週間ぶりの安値に下落。日銀の結果発表前は156円台前半で推移していた。午後3時半から植田和男総裁会見が記者会見する
【ストラテジストの見解】
ウェルズ・ファーゴのアジア太平洋地域マクロ戦略責任者、チドゥ・ナラヤナン氏
- 日銀の政策決定は市場が期待していたほどタカ派的ではなく、ドル・円は上昇し、短期の円債利回りは低下する見込み
- 政策委員の中で最もハト派的な2人が反対しており、日銀の急速な利上げという市場の予想を裏付けるものではない
- 声明文の第一印象はかなりタカ派に見えるが、会合前の市場予想を踏まえれば、それだけでは不十分だ
ロンバー・オディエのシニアマクロストラテジスト、ホミン・リー氏
- 日銀の着実なタカ派転換、財務省の介入姿勢の維持、年金基金のポートフォリオ再調整の可能性からドル・円は155-160円のレンジで推移すると予想
- 今後数カ月間はレンジ相場となるのが基本シナリオ
- エネルギー価格の高騰や米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げサイクルが続くとみられる世界情勢で、円が大きく上昇するには日銀がより積極的な利上げ姿勢を示す必要があるが、そうした意図があるとは考えていない
- 多くの市場参加者は、高市政権が指名した浅田、佐藤両審議委員が反対することを予想していたが、今後の利上げサイクルでも両委員はハト派的な反対姿勢を維持する可能性が高い
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジスト
- 日銀の利上げ決定に対し浅田、佐藤両審議委員が反対、高市政権で任命されたリフレ派委員の投票行動に高市政権の本音が出た
- 為替市場は反対2票を受けて円安が進んでおり、債券市場も午後の取引で売りが出る可能性
- 利上げペースや次の利上げ時期についてはヒントはなかった
大和証券の坪井裕豪チーフストラテジスト
- 日銀の利上げ決定で反対意見があったため、先々の利上げ見通しが複雑になり、円が売られた
- 株式市場にとっては、日銀が景気と物価のバランスを取りながら運営していることからポジティブ
- 物価見通しは前回7月の展望リポートから大きく変わっておらず、景気に配慮している
ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの駱正彦氏
- 日銀金融政策の正常化は着実に進んでいるが、円安が当初見られた背景には2人の反対票、展望リポートの更新がなく、日銀が予測の修正を通じてタカ派的なメッセージを強化する余地が限られていたことが挙げられる
- 植田総裁の会見は中立からややタカ派的なトーンが予想され、堅調な成長、持続的なインフレリスク、1.25%であっても依然として緩和的な政策金利を背景に今後全ての会合がライブであり続けることが強調されよう
- 主要中央銀行が根強いインフレ、AIによる投資需要、上昇する期間プレミアムに苦慮する中、議論の焦点はもはや日銀が利上げを行うかどうかではなく、最終的に金利がどこまで上昇するかという点に移っている
三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジスト
- 利上げ反対の2票は、今後の金融引き締めが従来考えられていたよりも難しくなるかもしれないとの観測を強め、円売りを誘発した
- 声明自体がハト派的だったとは考えておらず、市場の最初の反応に過ぎない
トラドゥのシニア金融アナリスト、ニコス・ザボーラス氏
- 日銀総裁が説得力のあるタカ派的な姿勢を示さない限り、円は引き続き売り圧力にさらされ、対ドルで数十年ぶりの安値を更新するリスクがある
- 今週初めのFRBの利上げで日米金利差は依然として大きく、円にとって極めて不利な影響を与えてきたキャリートレードが持続している
- とはいえ、最近の相次ぐ為替介入で円売りに対する抑止力も築かれ、シルバーウイークの接近は当局が再度介入する好機
- 株式市場は利上げに2人の反対があり、円安に振れたことに反応。AIブーム、財政支援、構造改革、海外投資家の買いと長期的な追い風は依然吹くが、借り入れコストの上昇は逆風で、円安の長期化と財政赤字の膨張も日本の資産に対する信頼が損なわれるリスクがある
クレディ・アグリコルCIBのシニアストラテジスト、デービッド・フォレスター氏
- 市場は今回の利上げを事前に織り込み、来年7月までにさらに3回の利上げを予想していたが、採決が全会一致ではなく、2人の審議委員が据え置きに投票し、声明文のトーンも大きく変わっておらず、利上げペースを加速させる緊急性がないことを示唆している
- 円相場には重しで、ドル・円の重要水準は158円。この水準を抜ければ、9月初旬に円が急上昇する前に形成されていた158-160円の取引レンジが再構築される可能性がある
--取材協力:深瀬敦子、横山桃花、ジョン・チェン、我妻綾.
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