近く開かれる米中首脳会談では、AI、長引く貿易戦争、人民元が主要議題になる公算が大きいと、複数のアナリストはみている。両国が主要な競争分野で譲歩に達するか、あるいは一定のガードレール(歯止め)を設けられるかが焦点となるという。

来週予定されているトランプ米大統領と中国の習近平国家主席の会談の行方について、市場は現時点でまちまちなシグナルを発している。

ゴールドマン・サックス・グループの調査では、慎重ながら楽観的な見方を示す材料として、オフショア投資家の46%、オンショア投資家の38%が、会談後に中国株が上昇すると予想。下落を見込むのはごく少数にとどまる。

一方、JPモルガン・チェースの株式デリバティブ・ストラテジスト、トニー・リー氏によると、海外の上場投資信託(ETF)の資金フローやオプションのポジショニングは、首脳会談を前に海外投資家が慎重な姿勢を維持していることを示している。

技術開発競争が一段と激化する中、AIは首脳会談の中心的な議題になると広く予想されている。米国の先端半導体へのアクセス、安全基準、AI業界の開発ペースを巡る対立などが主要な争点だ。

近く期限を迎える1年間の関税休戦の行方や、中国政府によるレアアース(希土類)の輸出規制、人民元相場も焦点となる可能性がある。

首脳会談を前に、投資家が注目するポイントの詳細は以下の通り。

AI

米中のハイテク分野の競争は最近、一段と激化している。中国政府は、米国の主要な業界幹部がAI開発のペースを落とし、中国のAIモデル開発企業への規制を強化するよう求めていることについて、恐怖をあおり、対立を招くものだと批判している。

こうした動きは、Z.AI(北京智譜華章科技)やミニマックス・グループ(稀宇科技)など中国のAI企業にさらなる重荷となる恐れがある。両社の株価はここ数カ月、激しい競争や資金消耗への懸念から下押し圧力を受けている。

ユニオンバンケールプリヴェ(UBP)のマネジングディレクター、ベイサーン・リン氏は「結局、両首脳ともAIが国家安全保障にとって極めて重要だと認識しているため、どちらも取り組みを減速させる可能性は低く、互いに相手の取り組みを阻もうとするだろう」と予想する。

その上で、「半導体規制が緩和されれば、両国にとってプラスとなり、特に米エヌビディア、アリババグループや騰訊控股(テンセント)、北京智譜華章科技など中国の大規模言語モデル(LLM)開発企業には追い風となる」と語った。

関税と市場アクセス

11月に期限を迎える米中の貿易休戦が、首脳会談を機に延長されるとの期待が高まっている。両国は、米国産のエネルギーや農産物を含む一部品目の関税率を大幅に引き下げるとともに、メーカーが使用する中国製の投入財に対する関税を引き下げる方向で協議を始めている。

習氏の訪米には中国国有の食品商社、中糧集団(COFCO)の代表が同行する可能性があることから、投資家は中国による大豆など米国産農産物の新たな購入に注目するとアナリストはみている。比亜迪(BYD)が訪米経済代表団に加わる可能性も、中国の電気自動車(EV)メーカーによる米国市場へのアクセスを巡る関心を集めている。

米中関係の大きな懸案となっている中国産レアアースへのアクセスも、主要議題であり続ける公算が大きい。サクソ・マーケッツのチーフ・インベストメント・ストラテジスト、チャル・チャナナ氏はリポートで、中国政府が輸出規制を緩和すれば、川下の製造業者に恩恵をもたらす一方、代替供給元に上乗せされている希少性プレミアムの一部を低下させる可能性があるとの分析を示した。

人民元

人民元も首脳会談の議題となる可能性がある。ベッセント米財務長官が8月、「人民元は過小評価されていると考える向きも多い」と述べたことも背景にある。

人民元は今年、対ドルで約4%上昇し、アジアで最も上昇率の高い通貨となっている。こうした上昇にもかかわらず、中国政府はドイツなど欧州諸国から、人為的に安く抑えた通貨を利用して不公正な貿易上の優位を得ているとの批判も受けている。

一部のアナリストは、首脳会談に向けて一層良好な環境を整えるため、中国が今後数日間、人民元の緩やかな上昇を容認すると予想している。ただ、中国経済が堅調な輸出に大きく依存していることから、大幅な人民元高を容認する可能性は低い。

ING銀行の大中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「中国の戦略は、合理的な水準で通貨の安定を維持することだ。外部から圧力がかかったとしても、この方針が変わる可能性は低い」と述べた。

原題:Traders Eye Xi-Trump Meet for Clues on AI Rivalry, Yuan Outlook(抜粋)

--取材協力:Elena Popina.

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