米連邦準備制度は16日、2023年以来の利上げに踏み切ると予想されている。米金融当局が少なくとも一定の引き締めに動かなければ、インフレが十分に鈍化するとの当局者の確信が薄れているためだ。

連邦公開市場委員会(FOMC)が実際に利上げを決めれば、ウォーシュ連邦準備制度理事会(FRB)議長とトランプ大統領との関係には緊張が生じる公算が大きい。

米金融当局は昨年12月に利下げして以降、今年に入り5会合連続で主要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを3.5-3.75%に据え置いてきた。当局者の過半数は、インフレ鈍化の進展が一時的な要因によって妨げられていると主張していた。

金融当局内では今年に入り、こうした見方への疑念が着実に強まっている。8月の消費者物価指数(CPI)で食品とエネルギーを除くコア指数の前月比の伸びが市場予想を上回ったのを受け、少なくとも近く1回は利上げする方向に傾いたと見受けられる。

投資家は15日の時点で、今週0.25ポイントの利上げが実施される確率を90%超とみており、年末までにさらに1回の利上げを織り込んだ。

米ブラウン大学のセブネム・カレムリオズカン教授(経済学)は米金融当局について、「いずれは利上げしなければならない」とし、「実際、これを先送りすればするほどインフレは長期化し、その時にはより大きな問題になる」と語った。

FOMCは米東部時間16日午後2時(日本時間17日午前3時)に会合後の声明を発表し、最新の経済見通しと政策金利見通しを盛り込んだ四半期経済予測も公表する。ウォーシュ議長は2時半から会合後の記者会見を開く予定だ。

トランプ氏の圧力

FOMCが利上げに踏み切れば、ホワイトハウスから新たな批判を招く可能性がある。トランプ氏は直近では13日にも、米国の金利は世界で最も低くあるべきだとの従来の主張を繰り返した。

トランプ氏はパウエル前議長の後任としてウォーシュ氏をFRB議長に任命して以降、金融当局への批判を大幅に弱めている。さらに、ウォーシュ議長が他の当局者から利上げを迫られているとの見方も示し、そうした当局者について「非常に政治的だ」と非難した。

しかし、ウォーシュ議長は8月28日のジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)での講演で、基調的な物価上昇圧力は意味のある鈍化を示していないと明言。インフレ率が2%の当局目標に向かっているとの新たな確証が得られなければ、「われわれにはやるべきことがある」と語った。

今月11日に発表された8月のCPIで、コア指数が予想を上回る上昇となったのは、主に携帯電話サービス料金が過去最大の伸びを記録したことによるものだった。だが、米金融当局が5年余りにわたり2%の物価目標を達成できていない以上、この統計を無視することはできないと、アナリストの多くは指摘している。

記者会見

記者会見でのウォーシュ議長の発言は一言一句精査されることになる。7月29日のFOMC会合後の記者会見では、金利据え置きを決めた理由について明確な説明を示さず、経済に対する自身の見方もほとんど明らかにしなかった。これを受け、米長期債利回りが上昇し、トレーダーやエコノミストから批判が相次いだ。

ただ、先月のジャクソンホール会合での議長講演は、投資家の懸念を和らげたと見受けられる。16日に利上げに踏み切れば、なお残る悪影響をさらに修復できる可能性がある。

記者団は16日の議長会見でも、FOMC決定について説明を求めるとともに、1回の利上げが利上げサイクルの始まりとなる可能性を示す手掛かりを引き出そうとすると見込まれる。ウォーシュ議長が今後の金利の道筋について明確なシグナルを示す可能性は低いが、現時点の経済情勢に対する自身の見解を示すことに消極的であれば、再び投資家をいら立たせる可能性がある。

反対票の可能性

米金融内では今年、トランプ政権の関税措置やイランでの戦争など、一見すると一過性と受け止められる一連の要因によって、高インフレが人々の予想に定着するリスクへの懸念が強まっている。

7月のFOMC会合では、地区連銀総裁3人が利上げを支持して反対票を投じた。今回の会合での利上げには、政策金利の据え置きを続けるには物価指標の改善が必要だとの考えを8月のCPI発表前に示していた複数の当局者も賛成する可能性がある。

ただし、全会一致の決定になるとは限らない。ウォラーFRB理事はインフレに対する見方についてまちまちなシグナルを発しており、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は今月2日、ディスインフレが進む兆候はなおみられると述べた。

また、ホワイトハウスと緊密に足並みをそろえているとみられるボウマンFRB副議長(銀行監督担当)が、金利据え置きを支持して反対票を投じる可能性があると、複数のエコノミストは予想している。

連邦準備制度は今回、当局者による最新の四半期経済予測も公表する。ブルームバーグが最近、エコノミストを対象に実施した調査では、失業率とインフレ率の見通しはおおむね据え置かれるとの予想が示された。政策金利を巡る見通しからは、年内の追加利上げを予想する当局者が何人いるかが明らかになる見込みだ。

ただ、この政策金利見通しにはウォーシュ議長の予測は含まれない公算が大きい。議長は前回6月の予測公表の際に自身の金利見通しの提出を見送った。

原題:Fed Seen Hiking Rates in Defiance of Trump: Decision-Day Guide(抜粋)

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