(ブルームバーグ):カナダは8日、米国から輸入する数百品目に15-50%の関税を発動した。カーニー首相はトランプ大統領に対抗する姿勢を示すことが、最大の貿易相手国である米国との交渉で最終的にカナダの立場を有利にするとみている。
カーニー政権は米国製の多くの鉄鋼製品に対する関税を25%から50%に引き上げたほか、オートバイ、化粧品、チーズなど幅広い消費財にも関税を適用した。ニューヨーク時間午前0時1分(日本時間午後1時1分)に発動した。
この措置は、ミシガン、オハイオ両州など、カナダとの取引が多く、11月の中間選挙で激戦が繰り広げられている州の米輸出業者には、特に大きな打撃となる。
カーニー首相にとっては計算されたリスクだ。カーニー氏は1年前、前任のトルドー氏が導入した報復関税の多くを撤廃した。トランプ政権当局者は報復措置を容認しないと繰り返し表明し、報復関税を導入したのはカナダと中国の2カ国だけだと指摘している。
米当局者はトランプ氏が新たな対抗措置を講じるかどうかや、その時期について明らかにしていない。
トルドー政権で貿易と対米関係を担当する上級顧問を務めたブライアン・クロウ氏は「カナダの報復関税は、この貿易戦争の代償を米企業や消費者が実感するほど大きくし、米政府に交渉のテーブルへ戻る明確な動機を与えることを狙っている」と指摘。「カナダが関税を課すのは貿易戦争を望んでいるからではない。貿易戦争を終わらせたいからだ」と述べた。

トランプ氏は7日、カナダのボンバルディアの航空機について、米国内での販売を禁止する可能性があると警告した。トランプ氏は「ボンバルディアはもう米国で販売させない!」とSNSに投稿。「ボンバルディアの製品は十分な水準に達していない! 売上高の50%以上を米国に依存している。同社は米国の買い手、企業、空港、サービスに支えられているものの、カナダは米国のすばらしい銀行や企業を締め出している」と書き込んだ。
米国とカナダの交渉担当者は数週間にわたり、貿易摩擦の緩和に向けた合意を目指して協議し、大枠では折り合ったとみられていた。トランプ氏は8月18日、暫定合意に達したと発表し、詳細を詰めるため3日間の猶予を設けた。しかし、協議は決裂した。
決裂後は2週間にわたり不満や批判の応酬となった。双方とも、土壇場で合意を台無しにしたのは相手側だと非難した。週末にも応酬は続き、ベッセント米財務長官はFOXニュースで、カナダをはるかに大きな犬にほえる「キャンキャン鳴く小犬」に例えた。
トランプ氏は6日、さらなる対抗措置をほのめかした。トゥルース・ソーシャルへの投稿で「カナダ・ドルを巡る米国との不均衡は容認できない」とし、「何年もそうだったが、もはや許さない!」と述べた。ホワイトハウスは発言の意味について説明を控えた。
約200億ドル相当のカナダ製品に対する米国の50%関税は8月22日に発効した。カナダ当局は3日後、ほぼ同額の米国製品を対象とする報復関税の詳細を発表した。

トランプ政権はカナダに追加措置で対抗すると警告しており、貿易摩擦が一段と激化する可能性がある。グリア米通商代表部(USTR)代表は、さらなる関税に加え、カナダからの一部品目の輸入を全面的に禁止する可能性も示唆しているが、時期は不明だ。
その間、トランプ氏は米国の地図上でオンタリオ湖を「アメリカ湖」に改称する大統領令に署名し、ソーシャルメディアにはカナダを中傷する投稿を相次いで行った。政権当局者は、カーニー氏が交渉を妨害したと公然と非難した。
ラトニック米商務長官はブルームバーグ・テレビジョンで、「カナダ側は国内の政治的な理由から、たとえカナダ経済に悪影響が及んでも、ドナルド・トランプ氏と対立する方を選んだ」と述べた。
カナダ当局者は匿名を条件に、6日午後時点で米政権との新たな協議は予定されていないと述べた。カーニー政権による新たな関税の発効を控える中、ホワイトハウスとグリアUSTR代表の事務所はいずれもコメント要請に応じなかった。
原題:Canada Imposes Tariffs Up to 50% on US, Risking Wider Trade War(抜粋)
(カナダによる米国製品への報復関税発動を明記して更新します)
--取材協力:Erik Wasson、Mario Baker Ramirez.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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