投資家が債券市場の危機を確信するのは、中央銀行が対応を迫られた時だ。欧州の格付け会社スコープ・レーティングスのエイコ・シーバート氏はこうみている。

米国担当の主任ソブリンアナリストであるシーバート氏にとって危機を判断する重要な目安は、金融当局が市場の混乱に対応せざるを得なくなった時だという。シーバート氏は英国の金融行動監視機構(FCA)、その後は欧州中央銀行(ECB)に勤務した経歴を持つ。

2日のインタビューでシーバート氏は「危機の定義は人それぞれだ」としたうえで、「私は金融安定に関わる分野の出身なので、危機に対する見方もそこから来ている」と語った。

この基準に照らせば、足元の市場は不安を抱かせるものだが、まだ危機的な状況にはないことになる。シーバート氏は、国債利回りが世界金融危機に見舞われた2008年以来の高水準に上昇した週に発言した。

欧州では、中央銀行による危機対応や、介入を辞さない姿勢を示すことが、以前から市場混乱への対応手段の一部となっている。

ユーロ圏では22年、ECBが利上げを進めるなかでも必要に応じて債券の買い入れができるトランスミッション・プロテクション・インスツルメント(TPI)が導入された。22年の英国債危機では、イングランド銀行(英中央銀行)による時限的な国債買い入れが事態の沈静化に決定的な役割を果たした。

シーバート氏は「ECBがTPIを使う必要があると判断したなら、それは一つのサインだと思う」と述べた。「市場の動きがファンダメンタルズを超えてエスカレートし、結果としてファンダメンタルズを悪化させるリスクは常にある。投げ売りが広がるような動きなど、そうした方向に向かうものは危機とみなす」とした。

米連邦準備制度理事会(FRB)には同様の手段がないため、準備通貨としてのドルへの信認が持続的に失われることが、一つの判断材料になり得るという。それでも「FRBの介入」は明確なサインになるとしている。

「FRBには当然、物価と雇用という目標がある。しかし、市場の混乱が財政面に及び、この二つの責務を果たすためにFRBが財政を支える介入を迫られるようなら、それは財政政策が機能不全に陥っていることを示す」と指摘。「危機に向かっている兆候になるだろう」と述べた。

原題:A Bond Crisis Is When Central Banks Step In, Scope Ratings Says(抜粋)

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