エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は2日、20カ国・地域(G20)に対し、経済成長を高める手段としてAIの導入を加速するよう呼びかけ、データセンターなどのインフラを拡充するよう促した。

フアン氏は、米国がノースカロライナ州で開催したテクノロジー関連イベントで、「全ての国が、自国経済を支えられるようインフラを構築する必要がある」と述べたうえで、AIを水道や電力などの公益サービスになぞらえ、「これは大いなる平等化をもたらすものだ」と強調した。イベントは、G20議長国の米国が加盟国向けに開催した。

フアン氏は同イベントで、ラトニック米商務長官との対談に登壇した。トランプ政権はG20各国に対し、AIなど新技術を管理する指針「カロライナ原則」の採用を働きかけている。この指針は、AIを対象とする新たな規制機関の設置に慎重さを求める一方、新興技術を試すうえで、政府と民間企業のより緊密な連携を促している。

Photographer: 撮影:コーネル・ワトソン/ブルームバーグ

米国ではデータセンター建設に対する市民の反発が強まり、11月の中間選挙でも主要な争点となっている。同時に、安全な試験環境からAIモデルが流出するセキュリティー侵害が相次いだことから、最先端のAIシステムの安全性確保のため、より厳格な監督を求める声も世界的に高まっている。

フアン氏は講演で、国にとって「最悪の結果」は「取り残されること」だとし、AIへの懸念にとらわれた議論を市民や政策当局者が続ければ、そうなりかねないと警告した。「AIについて議論する際には、バランスを取る必要がある」とし、AIが繁栄をもたらす可能性にも目を向けるべきだと訴えた。

フアン氏は例として米国を挙げ、規制環境やエネルギー推進政策を理由に、エヌビディアが今年だけで米国のインフラに「1兆ドル(約160兆円)近くを投資する」と述べた。

規制に懸念

フアン氏は記者団に対し、政府によるAI規制は対象を限定すべきだとも主張し、製品の安全性を確保する責任は政府当局者ではなく企業が負うべきだとの考えを示した。

フアン氏は対談後「この技術はまだ形成段階にある。現実に発生している具体的な被害を規制すべきであって、理論上または仮定上の被害を規制すべきではない」と呼びかけた。また、「全ての企業が自ら責任を負い、安全に技術を開発しなければならない」とも語った。

2日間のイベントには他の大手テクノロジー企業の経営幹部も参加し、AI開発への制約を抑えるよう同様に訴えた。1日には、スペースXのイーロン・マスクCEOが、欧州連合(EU)の規制について、「極めて厳しく」成長を阻害していると批判し、新規事業への介入を控えるよう求めた。

AIへの安全対策の必要性を強く訴えてきたアンソロピックの共同創業者兼最高コンピューティング責任者、トム・ブラウン氏も、世界各地でデータセンター建設を迅速化する重要性を強調した。

ブラウン氏は2日、ラトニック氏との対談でG20に対し、各国がテクノロジーインフラの建設を進めやすくすることで、AIの恩恵を享受できると述べた。同氏は、データセンターについて「われわれの進歩を阻むボトルネックであることは極めて明白だ。AI需要を支えるために必要な電力と労働力が大幅に不足している」と訴えた。

原題:Nvidia’s Huang Urges G20 to Speed AI Adoption, Spur Growth (1)(抜粋)

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