米国株が歴史的に低調となりやすい9月を迎え、中間選挙やAI関連の取引を巡る不透明感が強まるなか、米銀ウェルズ・ファーゴも今週、米国株の先行きに警戒感を示す市場関係者の一角に加わった。

株式担当チーフストラテジスト、オソン・クウォン氏率いるウェルズ・ファーゴのアナリストは、AI投資ブームが持続するかどうかを巡って投資家の不安が強まるなか、9月を迎えるにあたり「慎重姿勢が幅広く」広がっていると警告した。AI関連の設備投資を巡る懸念はピークに達するとみている。ただ、8月半ばの相場下落後も、同行のセンチメント指標はマイナスよりプラスに傾いたままだという。

一部の金融機関で今週、米国株の先行きをより慎重にみる動きが広がっている。8月31日には、JPモルガン・チェースのアンドルー・タイラー氏率いるトレーディングデスクが、今後数週間の米国株について「戦術的に慎重」な見方に転じた。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長によるタカ派的な発言を受け、市場で年内の利上げ観測が強まったためだ。

シタデル・セキュリティーズでも、株式・デリバティブ戦略責任者スコット・ルブナー氏が、今後数週間の株式相場の先行きに懸念を示した。

ルブナー氏は31日付のリポートで「上昇を促す材料が見えにくくなる一方、下落につながる材料は増えている」と分析した。

ウェルズ・ファーゴのアナリストやJPモルガンのトレーディングデスクと同様、ルブナー氏も相場全体が弱気に転じるとはみていない。あくまで短期的な戦術上の調整を見込んでおり、米国株の長期見通しについては引き続き前向きだ。

ルブナー氏は「相場が強い局面で一部のエクスポージャーを減らし、重要イベントが相次ぐ時期に備えて割安なヘッジを積み増したい」と記した。

米国株の指数にとって9月は例年、厳しい月だ。過去2年はこうした季節的な傾向に反したものの、ブルームバーグが集計したデータによると、過去30年間の9月の平均騰落率はマイナス0.8%だ。

ウェルズ・ファーゴのアナリストが慎重な見方を示す背景には、中間選挙を控えていることに加え、AIへの過剰投資に対する懸念やデータセンター整備の一時停止措置がさらに広がるリスクがある。

クウォン氏は9月1日付の顧客向けリポートで「AI需要は引き続き加速するが、経済情勢や資金面が制約要因になる」と指摘。「追加投資を正当化できるほど景気が加速しない限り、AI設備投資サイクルは2027年に終盤に入るリスクがある。伸び率は次の四半期にピークを迎える見通しだ」とした。

エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などの半導体株に加え、アマゾン・ドット・コムやテスラなどの「マグニフィセント・セブン」銘柄も1日の取引で下落。市場全体が軟調に推移するなか、それを下回る値動きとなっている。

フィラデルフィア半導体株指数は2.1%安となった。6月半ばから7月にかけての下落からの回復は鈍く、テクニカル面で警戒材料となっている。

クウォン氏は、アンソロピックが近く予定される新規株式公開(IPO)に向けて提出する登録届出書「S-1」が「短期的に最も重要な材料」になると指摘した。市場の変動に敏感な銘柄よりも、質の高い銘柄を選ぶことを勧めており、半導体よりソフトウエアを重視することを提案している。ただ、アンソロピックの数字が極めて良好でAI関連トレードの妥当性を裏付ける内容となれば、逆の戦略の方が合理的になるという。

クウォン氏によると、長期的には、巨額の投資計画を正当化するにはAIによる総産出額が28年までに1兆4000億ドル(約224兆円)、29年までに2兆2000億ドルに達する必要がある。一方、データセンター整備の一時停止措置が広がりつつあり、中間選挙を控えてさらに増えるとみている。

原題:Wells Fargo Is the Latest to Call for Caution on US Stocks (1)(抜粋)

--取材協力:Matt Turner.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.