(ブルームバーグ):1日の債券市場で長期金利(新発10年債利回り)が3%に上昇し、1996年以来の高水準を更新した。借り入れコストや政府財政、投資資金の流れを変え得る節目となる。
新発10年債利回りは前営業日比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い3%に上昇した。5年債や20年債など他の年限の利回りも上昇している。
長く超低金利が続いた日本で、長期金利が3%の大台に乗せたことは経済環境の転換を意味する。資金調達コストの増加が企業や家計を圧迫するほか、巨額の債務を抱える政府も国債利払い費の増加に直面し、一段と厳しい財政運営を余儀なくされる可能性がある。
日米両政府による7月末の協調為替介入を受け、日本銀行の利上げが9月にも実現しそうだとの見方が市場で強まっている。スワップ市場では9月の利上げ確率が9割を超え、来年1月までの2回目の利上げもほぼ完全に織り込まれている。金融政策に敏感に反応する年限の短い金利に連動する形で長期金利も上昇している。
ベッセント米財務長官は8月31日、日本政府と日銀が円相場の上昇につながる措置を講じるだろうと、経済専門局CNBCとのインタビューで発言。NHKがブラウン米財務次官(国際担当)とのインタビューを基に報じたところでは、ベッセント長官は訪米中の植田和男日銀総裁と片山さつき財務相と相次ぎ会談し、日銀が利上げするよう要請した。片山氏は金融政策の議論にはなっていないとして報道を否定している。
日本の金利上昇は海外市場にも波及するリスクがある。日本の投資家は世界有数の外国債券保有者であり、国内で得られるリターンの魅力が高まれば、資金の一部が日本に還流する可能性があるためだ。その場合、米国や欧州を含む市場で借り入れコストに上昇圧力がかかる。
海外でも金利は上昇傾向にある。米国では急増する政府債務や長期債の大量発行、過去5年間にわたって米連邦準備制度理事会(FRB)の目標を上回るインフレへの懸念を背景に、30年債利回りが8月に一時5.3%台に乗せて2007年以来の高水準となった。
高市政権
日銀が24年3月に長短金利操作(YCC)を解除して以降、日本の金利環境は大きく変化してきた。長期金利は同年5月に1%を突破し、約1年半後の25年12月に2%に達した。3%へはそこからわずか8カ月で到達しており、金利上昇ペースは加速している。25年10月に積極財政や低金利政策維持を志向する高市早苗政権が誕生したことが大きな要因だ。
財政拡張や日銀がインフレに対して後手に回るビハインド・ザ・カーブに陥ることへの懸念から、金利上昇とともに円安が進行。今年1月に米国がドル・円で異例のレートチェックを行ったのに続き、4月末から5月初めにかけて日本が単独の円買い介入を実施。7月末には日米の円買い協調介入が実現した。
一方、高市政権の積極財政方針は変わっておらず、飲食料品(軽減税率対象品目)にかかる消費税率は27年4月から2年間限定で現行の8%から1%に引き下げる基本方針が決まった。来年度予算の概算要求額は一般会計で143兆円前後になると報じられ、市場で財政拡張や国債増発への懸念は強い。
BNPパリバ・アセットマネジメントの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは「米国が協調介入で協力したにもかかわらず、高市首相から情報発信がなく、本当に円安を阻止したいのか、日銀の早期利上げを容認しているのか判然としない」と指摘。「追加的な悪材料が出て金利が上昇するリスクの方が大きく、長期金利が3%になったからといって買い急ぐ必要はない」とみる。
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