トランプ米大統領は、米国内で強まっているデータセンターへの地域社会の反発によって、AIを支えるために必要なインフラ整備が阻まれれば、そうした地域の経済に打撃を与えるだけでなく、AI開発競争で中国を優位に立たせる恐れがあると警告した。

トランプ大統領は8月31日のSNSへの投稿で「全米の地域社会がデータセンターを拒む唯一の理由があるとすれば、時代に取り残され、貧しくなりたい場合だけだ」と述べた。「成功して豊かになり、税負担を大きく減らして雇用拡大を望むなら、データセンターを受け入れよ」とした。

データセンターに対する世論の変化は、開発業者を悩ませ、米中間選挙の争点にも浮上している。連邦議会の多数派争いを左右し得る重要議席の一つであるオハイオ州では、上院選がデータセンター建設の是非を問う住民投票の様相を呈している。ニューヨーク州ではハイパースケール・データセンターの建設を一時停止し、テキサス州では新規開発が事実上凍結されている。

米国の他の州や都市もデータセンターの規制を検討。大規模で大量のエネルギーを消費する施設に必要な電力や設備の確保に苦慮する業界にとって、さらなる障壁となる可能性がある。建設が遅れれば、今年だけでもAIインフラに7000億ドル(約110兆円)超を投じる計画の米テック企業や、それを支援する投資家に甚大な影響が及ぶ。

データセンターへの反対は、トランプ氏にとって、深刻化する政治課題にもなりつつある。トランプ氏はAI開発を経済政策の柱に据え、雇用創出の原動力として、テック関連インフラを全米で急速に拡大させることを推進してきた。AI分野で中国に対する米国の優位を維持することも、政権の最優先課題の一つとしている。

来月予定される中国の習近平国家主席のホワイトハウス訪問を前に、トランプ氏は、新興技術で前進する中国に対抗する上でもデータセンターが重要だと強調した。

トランプ氏は投稿で「金の卵を産むガチョウを殺してしまえば、自分たちを責めることになるだけだ。この反データセンター運動を、中国は何より喜んでいるだろう」とした。

計画の延期・阻止相次ぐ

OpenAIは6月、中国とつながりのある複数のChatGPTアカウントが、データセンターに対する地域住民の反対をあおろうとしていたと発表。データセンターを巡る議論は現実のものだと認める一方、海外からの世論工作への懸念も示した。

11月の中間選挙で多数派奪還を目指す民主党は、生活費高騰を争点に攻勢を強めているほか、バーニー・サンダース上院議員らも、新たなデータセンター建設の一時停止を求めている。

調査団体データ・センター・ウオッチによると、今年1-3月に少なくとも75件のデータセンター計画が地域住民の反対によって阻止または延期された。反対運動はミシガン、ジョージア両州など選挙の激戦州で目立ち、両州では17件の計画が延期または阻止されたという。

テック企業も警戒を強めている。かつては手厚い税制優遇措置で歓迎されるのを当然視していたシリコンバレーも、反対運動を抑えるため、広報活動や地域プロジェクト、地元住民への働き掛けを強めている。

トランプ氏は反発への配慮を示すこともあり、データセンターによって電気料金が上昇した場合は、その費用を負担するとテック企業に約束させる取り組みを支持している。「料金負担者保護誓約」と呼ばれる法的拘束力のない合意には、多数の州知事や議員、電力会社、データセンター開発業者が賛同しており、送電網の更新費用に充てるため、通常より高い電気料金を支払うことを約束している。

原題:Trump Says ‘Let Data Reign’ in Response to Data Center Blowback(抜粋)

--取材協力:Brody Ford.

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