米アンソロピックは、新たなソフトウエア標準規格を発表した。対話型AI「Claude(クロード)」などAIアシスタントが、ロボットや科学・製造分野のハードウエアとより円滑に連携できるようになる。

同社は「モデル・ハードウエア・スタンダード(MHS)」を研究目的に先行公開する。科学、ロボット、製造分野の開発者が、Claudeがハードウエアとどのように連携するかを試し、一般公開を前に必要な安全対策を組み込めるようにする。

MHSは基本的に、AIアシスタントがハードウエアの仕組みを理解するための情報を保存する。紙のマニュアルや、一部の専門家だけが持つ知識に頼る必要がなくなる。例えば、工場向けロボットアームのメーカーは、動作速度や角度を制限することでAIが重量のあるアームを安全に操作できる方法をMHSに書き込める。

AIの進歩を製造やロボット、科学実験などにどう応用できるかについて、企業や投資家の関心が高まっている。英銀バークレイズが今年公表したリポートは、AIを搭載したロボットや自律型機械が2035年までに1兆ドル(約160兆円)規模の市場に成長すると予測した。一方、アルファベット傘下のグーグルやOpenAI、エヌビディアも、ロボット向けのAIモデルやソフトウエアを開発している。

アンソロピックは27日の発表資料で、業界関係者はMHS試用の順番待ちリストに登録できると説明した。あらゆるハードウエア製造者が独自のMHS仕様を作成できるようにするため、先行期間終了後は、この枠組みをオープンソース化する方針だが、具体的な時期については明らかにしなかった。

アンソロピックのライフサイエンス部門でパートナーシップ・配備責任者を務めるジョナ・クール氏は、「機器を使えない、あるいは技術的なハードルが高すぎるという理由で、科学研究が進まないケースは多い」と指摘。「MHSをClaudeと活用すれば、科学者は適切な機器を専門家並みに使いこなせるようになる」と述べた。

アンソロピックはすでに、AIアシスタントが外部のアプリとより簡単に連携できるようにするソフトウエアアプリケーション向け標準規格「モデル・コンテキスト・プロトコル(MCP)」も導入し、普及させている。これにより、例えばClaudeや競合するチャットボットのChatGPTは、Gメールやグーグルカレンダー、コミュニケーションツールの「スラック」と接続できるようになった。

アンソロピックの技術スタッフ、アレク・ケメニー氏は、「MCPがソフトウエアで果たした役割を、MHSはハードウエアの世界で果たす」と説明。「価値を発揮するのは、数十台、数百台もの機器がある科学研究施設だ」と語った。

アンソロピックはすでに、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、ダナハー、ハギングフェイス、ラズベリー・パイなど複数の業界関係者とMHSの試験を進めている。アンソロピックのプロモーション動画によると、バイオテクノロジー企業ジェネンテックの科学者が、自ら設計した実験に関するPDF文書をClaudeに送ったところ、ClaudeがMHS仕様を備えたハードウエアを使って、その実験を自律的に実行したという。

原題:Anthropic Tests New Way for Claude to Work With Robots, Labs(抜粋)

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