(ブルームバーグ):米インフレ見通しを巡り、連邦準備制度の当局者が発するシグナルは入り交じった状態が続いている。物価高抑制には利上げが必要だとする声がある一方、差し迫った引き締めの必要性は低いとする見方もある。
ウォーシュ連邦準備制度理事会(FRB)議長は現地時間28日午前8時(日本時間同日午後11時)から、ジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)で基調講演を行う予定だが、こうした見解の相違はその前日にもあらためて浮き彫りとなった。
カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は、現在の政策金利の水準は景気抑制的ではないとの見方を示し、クリーブランド連銀のハマック総裁も同様の見解を表明した。ハマック総裁は、金利据え置きを決めた先月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げを主張して反対票を投じた3人の当局者の1人だ。
両総裁は、妥当な期間内にインフレ率を2%の目標に戻すことを望むのであれば、金融当局として利上げすべきだとの考えを明確に示唆した。
シュミッド総裁はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「短期金利については、緩和的な水準にある可能性があるとみている」とし、「従って、われわれにやるべきことがある」と発言。ハマック総裁はCNBCとのインタビューで、「インフレ率を目標まで押し下げるため、ある程度の抑制を加えることが適切だと考えている。インフレ率がわれわれの目標を上回る状態が長く続くほど、目標への引き下げは難しくなる」と語った。
他の当局者は、一段と慎重な姿勢を示した。
ボストン連銀のコリンズ総裁はシンポジウム会場でのインタビューで、「金利は引き続き緩やかな引き締め水準にあるとみている」と述べ、現在の金融政策が少なくともある程度は景気を抑制し、インフレ鈍化を促していることを示す証拠があるとの考えを示した。
一方、シカゴ連銀のグールズビー総裁は、インフレ見通しを見極めていると説明。「今回のインフレショックが長引かないことを示す証拠が必要だ」と、ブルームバーグのポッドキャスト「Odd Lots」で述べた。
その上で、「その証拠が得られるのを待つことに問題はない。ただ今後、特にサービス分野で、インフレ率が高く、悪い方向に向かい、進展がないことを示す証拠が出始めれば、懸念を強めることになる」とコメントした。
エコノミストも見解に相違
インフレ抑制に向け、連邦準備制度が今後数カ月のうちに利上げする必要があるかどうかを巡り、エコノミストの見方も分かれている。米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は、7月の総合指数が前年同月比3.7%上昇となった。フェデラルファンド(FF)金利先物の動向に基づけば、投資家は現在、9月の利上げ確率を約36%とみている。
これとは別に、シュミッド、グールズビー両総裁はいずれも、FOMCの政策会合を年間8回から6回に減らすというウォーシュ議長の提案を検討することに前向きな姿勢を示した。議長はこの案についてFOMCに意見を求めている。
グールズビー総裁は、この提案を検討の「俎上(そじょう)に載せるべきだ」と指摘。一方、シュミッド総裁は、新たな技術の登場により、当局者が景気情勢をより迅速に把握できる可能性があるとの見方を示した。
シュミッド総裁は「一段と多くの情報を得られるのであれば、会合の回数を減らすことで、われわれは一層効果的に政策を運営できるかもしれない」と発言。「ただ、その情報は現在よりもリアルタイムのものでなければならない」と強調した。
今年の目玉
今回のイベントは、フォワードガイダンスの発信を控えるウォーシュ議長のコミュニケーション手法にとって、重要な試金石となりそうだ。FRBウオッチャーは、議長が米経済の見通しについてより明確な考えを示すとともに、インフレ率を2%の目標にどのように戻すのかを明らかにすることを期待している。
会合には、世界各国・地域の著名な当局者も参加する。イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁が出席するほか、欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル理事は、28日午前に発表される論文の一つについて討論者を務める予定となっている。韓国銀行の申鉉松総裁も出席する見通しだ。
原題:Fed Officials Remain Divided on Inflation Ahead of Warsh Speech、Fed’s Jackson Hole Conference Is Underway: Here’s What to Expect(抜粋)
(ジャクソンホール会合出席者に関する情報などを最後の2段落に追加して更新します)
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