(ブルームバーグ):中国はイランとの経済関係を巡り、トランプ米大統領の要求には従わないとのメッセージを発している。
米国は中国や香港の数十社に制裁を科し、イランと取引している中国の「大手金融機関」も今週末までに対象に含める意向を表明。金融機関の具体的な名称には触れなかった。
この数時間後、中国外務省の林剣報道官はイランとの関係について「干渉や妨害を受けるいわれはない」と、記者会見で反発。中国は自国の利益を守るため「あらゆる必要な措置」を講じると主張した。
この反応は、トランプ政権がイランに取引を迫ろうと経済的な圧力を強める中で、米中の衝突が拡大するリスクを浮き彫りにした。
イラン産原油の最大の買い手である中国は、イランにとって経済的な命綱を提供してきた。イランとの戦争が長期化する米国はアジアから資源を動かさざるを得なくなっており、交渉上の優位を強める中国の習近平国家主席は来月の首脳会談を前にトランプ氏を急いで助けるようには見えない。
こうした状況で米国がイラン経済を支援する中国の大手金融機関に行動を起こせば、中国の強烈な反発を招くことは必至だ。
コンサルティング会社リフラ・リサーチ&アドバイザリー創業者で米政府の中東政策顧問を務めた経験があるジェシー・マークス氏は、「中国は事態の収拾を望んでいるが、何らかの見返りを得ることなくトランプ氏の戦争終結を手助けする理由はほとんどない」と述べた。
習氏にとって、トランプ氏の注意がイランに向いていることには利点がある。米国は今月、アジアを拠点とする唯一の空母を中東に移動させたほか、中東での戦争により利用できる資源が限られているとして、韓国との上陸訓練を中止とした。米国の抑止力低下は明らかで、中国は南シナ海や台湾を巡ってより自由に行動できる可能性がある。
中国がイランとの関係を断つことはないが、原油の購入をさらに減らしたり、原油取引の収入を中国国内の銀行にとどめ置いたりすることを決める可能性はあると、マークス氏は指摘した。首脳会談を前に、イランの兵器開発に流れる可能性のある中国製の軍民両用部品の管理強化を約束することも、中国にとって選択肢の一つになる。
米国の要求を完全に無視すれば、9月24日にワシントンで予定されている首脳会談を数週間後に控え、トランプ氏の反感を買う恐れがある。会談は米中貿易戦争の停戦維持が目的とみられ、中国は既に、米国の海上封鎖で供給が細っているイラン産原油の購入を減らしている。
中国は、携帯電話からミサイルまであらゆる製品の生産に不可欠なレアアースの世界的なサプライチェーンを支配する。それがトランプ氏に、より強力な制裁の実施を踏みとどまらせている。習氏は昨年、これを武器にトランプ氏の関税戦争を抑え込み、その後も一定の関係維持を図る上で効果を発揮してきた。
互いに劇的な関係の悪化は望んでいないとの考えも見え隠れする。事情に詳しい関係者によると、米国は導入を予定する過剰生産能力に対する関税を、中国が以前受け入れた水準に抑える方針だ。
ベッセント財務長官自身、さらなる経済混乱は避けたいとの考えをにじませた。同氏は24日に記者団に対し、「世界の金融システムをぶち壊したいとは考えていない」と述べた。米長期債利回りが10年ぶりの高水準に上っていることも、この発言の背景にある。
中国商務省の元顧問で、北京の対外経済貿易大学(UIBE)の龔炯教授は、中国がイランに関する要求に応じないことを米国は恐らく承知した上で、中国から一定の譲歩を引き出すことを期待しているとの見解を示した。
「イランは長らく制裁下にありながら、全く屈服していない。今回は違うと言えるはずがない」と龔氏は語った。
原題:Xi Signals Defiance as US Threatens Sanctions for Iran Support(抜粋)
--取材協力:Jing Li、Linda Lew.
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