20歳代以下の急増は何を示唆するのか

もっとも、年代別の売却率の推移と売却理由のアンケート調査から、つみたて投資枠の売却増加には利益確定以外の要因もあった可能性が浮かび上がってくる。

まず年代別の売却率を見ると、2025年は各年代とも売却率が上昇したが、上昇幅は一律ではなかった。とりわけ20歳代以下で顕著であり、2024年時点で4%台と他の年代と比べて高かったが、2025年には9%と倍増し、売却が一段と膨らんだ。 

次に、日本証券業協会の「新NISA開始後の利用動向に関する調査」の2025年のアンケート結果で売却理由を見ると、全年代、20歳代以下ともに「利益確定のため」が最も多くなっている。ただし、20歳代以下では「利益確定のため」の比率が全年代と同程度にとどまる一方、利益確定以外の売却理由が相対的に多く挙げられている。

「ポートフォリオ(保有銘柄)のリスク調整(リバランス)のため」、「配当金/分配金が魅力的ではなくなったため」の保有商品の見直しを示唆する理由が目立つ。それに加えて、「基準価額(株価)の下落が見込まれるから」、「損切のため」の下落相場を意識した理由、さらに「現金が必要となったため」という流動性確保の理由も相対的に高くなっている。

おわりに

2025年は結果的に良好な投資環境となったため、売却増加の主な要因は利益確定によるところが大きかったとみられる。しかしながら、2025年前半はトランプ米大統領の言動に金融市場が翻弄される場面もあり、そのような環境下で投資し続けることに不安を感じて売却に踏み切った若年層が一定数存在した可能性もある。また、手元に余裕資金が十分でない中でも積立投資を継続した結果、突発的に資金需要に直面して売却を余儀なくされたケースも考えられよう。いわば、巷で話題になった「NISA貧乏」ともいえる状況が、特に20歳代以下の一部で生じている可能性も否定できない。様々な理由があるものの、いずれにしても引き続き長期投資をいかに根付かせるかが課題となっているといえる。

2026年以降においても、20歳代以下を中心につみたて投資枠からの売却が高止まりするのか、あるいはさらに拡大していくのか、口座開設や買付と合わせて今後の利用動向に注目したい。

(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 金融研究部 上席研究員 前山 裕亮 )