米国株式市場では今年、資本財株が快走を続け、原油高や債券利回り上昇、通商政策面での制約といった逆風をはねのけてきた。背景には、AIブームの恩恵を受けるとの高い期待があるが、ここにてき過熱感が出でている。

大型機械メーカーや物流、建設関連企業の株価は、エネルギーやIT(情報技術)と並び、S&P500種株価指数の中でも今年、とりわけ好調な業種となっている。資本財株指数は年初来で16%上昇し、S&P500種の中で最も割高なセクターとなった。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の資本財担当アナリスト、クリス・チオリノ氏は、「2027-28年の景気循環的な回復への期待に加え、AIやデータセンター建設、生産の国内回帰、大型プロジェクトといった長期的な追い風が、すでに高水準だった資本財株のバリュエーションを一段と押し上げている」と指摘。「成長期待が裏切られれば、より大幅な調整に見舞われやすくなる恐れがある」と述べた。

S&P500種を構成する11業種のうち、資本財は現在、AIトレードをけん引するITよりも割高だ。向こう1年の予想利益に基づく株価収益率(PER)は24.7倍で、ITの21.2倍、S&P500種全体の19.7倍を上回っている。

資本財株は過去の水準と比べても大幅に割高だ。1990年以降、現在と同程度の水準に達したのは、新型コロナウイルス禍後の極端な低水準から企業利益が回復していた時期に限られる。

一方で、同セクターに連動する最大級のファンド、ステート・ストリート・インダストリアルETFへの月間資金流入額は、5月以来の低水準となる見通しだ。別の主要ファンド、バンガード・インダストリアルズETFは、トランプ大統領の関税政策への懸念が市場を覆っていた2025年4月以来、月間で最大の資金流出となる見込みだ。

ノースウェスタン・ミューチュアルの首席ポートフォリオマネジャー、マット・スタッキー氏は、このセクターのバリュエーションが高いのには「妥当な理由がある」と話す。資本財企業の成長は市場全体に比べて持続性が高く、変動も小さいとの見方が投資家の間で強まっているためだという。

スタッキー氏は、キャタピラーやGEベルノバのような安定した製造業大手は、マイクロン・テクノロジーのような企業よりも「やや予測がしやすい」と説明。「テクノロジー分野で見られるような景気循環性と比べると、こうした企業の利益率は予想しやすい」と述べた。

資本財セクターの中でも、電気機器、発電機、タービン、電池のメーカーや建設会社などは現在、二つの大きな投資テーマの恩恵を同時に享受する好位置にある。AIデータセンターの増設と防衛支出の拡大だ。

キャタピラー、イートン、ディアはAIの恩恵を受けている。一方、イランとウクライナで続く紛争に加え、不透明感を増す国際秩序の下で世界的に軍事支出が増えていることが、RTX、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ボーイングなどの追い風となっている。

ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「AI関連投資の拡大は、資本財企業にとってルネサンスとも言える状況をもたらした」と述べた。

ただ、さまざまなリスクがくすぶる中、資本財株の好調がいつまで続くのか、市場では疑問も強まっている。

オルーク氏は、現在のAI関連の建設ペースの伸びは「持続するのが難しい」とし、最大のリスクはAI投資の拡大ペースにあると話す。

「AI関連の建設投資が今後5年間、もう少し緩やかでも安定して続くのであれば、資本財企業にとって非常に望ましい」とオルーク氏。その上で、「一気に需要が殺到するのは望ましい状況ではないが、26年から27年にかけて、将来の需要が大幅に前倒しされている」との見方を示した。

原題:‘AI Renaissance’ in Old Economy Stocks Starting to Get Stretched(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.