(ブルームバーグ):日本企業の4-6月期決算は市場予想を大きく上回り、幅広いセクターで利益が改善した。AI関連に好決算が偏った1-3月期から様相が一変したのは値上げが浸透したためで、今後株式市場で物色対象が広がる可能性も出てきた。
ブルームバーグの集計では、4-6月純利益がアナリスト予想を上回った東証株価指数(TOPIX)構成銘柄の割合は71.3%と5年ぶりの高水準となった。時価総額上位のTOPIX500銘柄に限れば、純利益総額は21兆円とこれまでのピークだった2025年7-9月期の約18兆円を上回り、過去最高だ。
りそなホールディングスの武居大暉ストラテジストは、決算発表前は中東危機の悪影響が懸念されたものの、「値上げすることで対応し、利益率が悪化する企業も限定的だった」と総括。先週まででおおむね発表が一巡した4-6月決算の内容を高く評価した。
エネルギーや原材料価格の高騰はあったものの、企業の採算性は悪化するどころかむしろ好転している。ブルームバーグのデータによると、TOPIX構成企業の利益マージンは9.3%と、データをさかのぼれる1993年以降で最高。未集計企業が1割程度残り、今後変動する可能性はあるものの、改善傾向は顕著だ。
武居氏は「外需、半導体関連企業の決算が事前の想定を上回っただけではなく、内需でも想定以上に良い決算が見られた」と分析した上で、底堅い決算を発表した企業の株式は買われやすくなっており、「物色は以前よりも広がるだろう」と予測している。
半導体関連では検査装置のアドバンテストや製造装置の東京エレクトロンが市場予想を上回る業績を達成し、株価も上昇。内需セクターでは家具・インテリア用品のニトリホールディングス、インターネットを通じ電子商取引や広告サービスを展開するLINEヤフー、情報サービスやオフィス向け通販の大塚商会などの好決算が目立った。
業種別で見ると、前年同期比で減益となったのは中東紛争の影響を受けた空運や電力など一部に限られ、大半が増益だった。
アナリストによる利益予想も改善傾向が続く。TOPIXの今年の予想1株利益(EPS)は、決算を受けた6月末以降で6.9%増え、増加率は米国のS&P500種株価指数の4.9%を上回った。AI投資に伴う半導体ブームで空前の利益を上げる韓国・台湾を含むエマージング指数には及ばないが、米国だけでなく欧州や中国を大きく上回り、日本の改善度合いが目立つ。
17日に発表された4-6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は3四半期連続で増えた一方、個人消費や設備投資は低調だった。それでも同四半期に企業業績が好調だったのは「価格上昇の効果が効いている」と楽天投信投資顧問の平川康彦第二運用部長は指摘。原油高を受けマージン悪化が先に表面化するとみていたが、「逆に製品価格が上昇し、売り上げを伸ばしている」と言う。
平川氏によると、今後日本株市場で考えられるベストシナリオは「上昇相場が広がりを持ってくること」であり、好業績でも株価の動きが鈍い建設や不動産、自動車などのリバウンドに期待感を示す。
4-6月の好決算は、米国のトランプ関税の還付という一時的要因や為替市場の円安進行によるかさ上げがあったことも事実だ。加えて、幅広いセクターの業績改善も元をたどれば、世界的なAI投資の活況が少なからず影響したことも否定できない。
とはいえ、業績動向に対する日本株市場の反応は好意的。7月から今月中旬までにTOPIXは4.7%上げ、構成銘柄の77%が上昇している。1-3月期決算を受けた4月から5月中旬までの動きを見ると、上昇率はAI・半導体関連株急騰の影響で10%を超えたが、上昇銘柄の割合は56%にとどまっていた。
UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの小林千紗日本株ストラテジストは、現在は4-5月に売られていたゲーム、食料品、ヘルスケア関連などが買われるようになってきたと言及。「いろいろなセクターで価格転嫁できていることが確認され、相場上昇の持続性が期待できる」と話している。
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